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税理士実態調査 税理士の5割超が60歳以上 開業税理士は6割超える

2025.04.24

1.税理士の高齢化が進展

高齢化する日本において、税理士資格者も例外ではない。日本税理士会連合会(日税連)は10年ごとに実態調査を行っているが、令和6年時点の第7回実態調査によると、最も多い年齢層は「60歳代」で25.7%、次いで「70歳代」の22%、「50歳代」21.5%、「40歳代」18.1%だった(図1参照)。「60歳代」以上が53.6%を占めており、あらためて税理士の高齢化が明らかとなった。

【 図1 】 税理士実態調査(%)
  第5回(2004年) 第6回(2014年) 第7回(2024年)
20歳代 1.1 11.5 0.6 10.9 0.4 6.6
30歳代 10.4 10.3 6.2
40歳代 15.6   17.1   18.1  
50歳代 19.3   17.8   21.5  
60歳代 18.4 52.9 30.1 53.8 25.7 53.6
70歳代 29.1 13.3 22.0
80歳代 5.4 10.4 5.9
無回答 0.7   0.5   0.3  

(出典:日本税理士会連合会の実態調査から筆者が作成)

第6回調査と比べると60歳超の比率はわずかに減少している(0.2%程度)が、70歳代以上で比較すると23.7%から27.9%へと上昇している。

今回の実態調査は、回答期限を令和6年5月24日までとし、8万6,166件を対象に実施。そのうち有効回答数は3万8,607件(所属会不明分118件を含む)、回答率は44.8%だった。

この調査で明らかになったのは、高齢化している現状と、いわゆる若手世代(20歳代~30歳代)の減少である。第5回調査では11.5%だったものが、第6回調査では10.9%、第7回調査では6.6%と、約半減している。

税理士の年齢割合を、いわゆる開業している「開業税理士」か、税理士法人の経営者である「社員税理士」、会計事務所に勤務している「所属税理士」かで見てみると、図2のとおりである。

【 図2 】「開業」「社員」「所属」の年齢層(%)
区分 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代 80歳代
以上
無回答
開業税理士 0.1 3.2 13.7 20.2 28.9 27.0 6.5 0.3
社員税理士 0.2 6.3 22.9 24.3 23.5 16.7 5.8 0.2
所属税理士 1.5 18.1 30.2 23.4 15.6 7.8 3.2 0.2

(出典:日本税理士会連合会の実態調査から筆者が作成)

開業税理士の場合は、60歳以上が28.9%、70歳以上が27.0%で、60~79歳までを合計すると55.9%を占める。一方、同じ税理士事務所の経営者でも税理士法人の社員税理士になると、50歳代が最も多く24.3%、次いで60歳代23.5%、40歳代22.9%という順であり、30歳代~50歳代で53.5%と半数以上を占めることから、開業税理士よりもやや若い傾向にあることがわかる。

また、税理士事務所もしくは税理士法人に勤める所属税理士の年齢層は、40歳代が最も多く30.2%、次いで50歳代23.4%、30歳代18.1%と、30歳代~50歳代で71.7%を占める。

性別については、回答者3万6,657人のうち2万7,249人(74.3%)が「男性」、5,160人(14.1%)が「女性」だった。前回(第6回調査)の「男性」85.1%、「女性」12.8%との比較では、女性の割合が若干増加している。

2.試験免除者が試験組を超える

税理士資格を取得するまでの経緯として、今回の調査で最も多かったのは「試験免除」で、回答者3万6,657人のうち1万6,391人(44.7%)を占めた。一方、これまで一番多かった「試験合格者」は1万5,704人(42.8%)で、第6回調査の45.9%から減少している。

興味深いのは、試験免除者が最も多いのは開業税理士で46.4%を占めている点である。社員税理士では39.8%と4割を切り、所属税理士も試験合格者が48.9%と、試験免除の43.6%を上回った。(図3参照)

【 図3 】税理士となった資格(「開業」「社員」「所属」)(%)
試験合格(科目合格) 試験免除
開業税理士 40.2 46.4
社員税理士 46.7 39.8
所属税理士 48.9 43.6

(出典:日本税理士会連合会の実態調査から筆者が作成)

税理士資格取得の経緯で次に多かったのが「公認会計士(平成29年3月31日以前に合格した者)」2,818人(7.7%)、「公認会計士(平成29年4月1日以降に合格した者)」236人(0.6%)、弁護士が85人(0.2%)となっている。

なお、公認会計士においては、平成26年3月の改正税理士法により、同法第3条に第3項が新設された。平成29年4月1日以後に公認会計士試験に合格した者のうち税理士資格を取得できるのは、公認会計士法第16条第1項に規定する実務補習団体等が実施する研修のうち、財務省令で定める税法に関する研修を修了した者とされた(国税審議会が指定する研修)。

以上を踏まえて、今回の調査結果からは、税理士の高齢化傾向と若手世代の減少、試験免除による資格取得が増えている実態が改めて浮き彫りになったといえる。

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