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国税庁が申告書等の控えの収受日付印を廃止 今後はどうしたら良いのか?

2025.02.25

はじめに

国税庁は令和7年1月から申告書等の控えに収受日時印の押なつを中止した。そのため、税務署などに申告書を提出する場合、正本のみを提出し、納税者自身が必要に応じて申告書等の控えの作成・保有、提出日時等を管理するように呼びかけている。

1.提出日や提出内容を確認・証明する方法とは

確定申告がスタートしたが、今年1月から申告書のみならず届出書や申請書など税務署へ提出するすべての紙ベースの書類について、控えへの収受日付印の押なつが廃止された。これまで、紙ベースの申告書を税務署窓口もしくは郵送で提出し、手元に収受日付印の押された控えを保管するのが一般的だったが、これが出来なくなるわけだ。

収受日付印は、納税者においてはいつどのような内容の申告書等を提出したのかを証拠として残すもの。金融機関や行政機関に対しては、収受日付印が押なつされた控えによって、その申告書等の内容が正本と変わらないことを証明していた。

国税庁では、収受日付印の押なつ廃止の理由について、納税者の利便性の向上等の観点から、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」を目指し、申告手続等のオンライン化、事務処理の電子化、押印の見直し等、国税に関する手続や業務の在り方の抜本的な見直しを進めているためとしている。

控えへの収受日付印の押なつ廃止の対応として国税庁は、提出日や提出内容を確認・証明する方法として、申告書等を税務署の窓口で提出もしくは郵送する場合、納税者自身で申告書等の控えを作成及び保有、提出年月日の記録・管理を行う必要があるとしている。

また、税務署では当分の間、窓口で「リーフレット」(以下の表参照)を交付し、申告書等を収受した日付と税務署名を記載したものを希望者に渡すため、これを保管しておくことも一つだ。郵送等により申告書等を提出する際に、切手を貼付した「返信用封筒」を同封した場合にのみ、日付・税務署名(業務センター名)を記載したリーフレットを返送する。

仮に、申告書等を提出したにもかかわらず、税務署等から「申告書等が提出されていないのではないか」といった問合せがあった場合、税務署側で納付状況や他の証拠書類を確認し、税理士及び納税者からの聴き取りなどを行った上で、そのリーフレットと申告書等の控えなどを確認することにより、原則、その日に税務署に来署し、申告書等を提出したものとして取り扱うとしている。

<表:国税庁のリーフレット|申告書等の控えへの収受日付印の押なつの見直しに関するQ&A>
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出典:国税庁HP|令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて

金融機関や行政機関等から収受日付印の押なつされた控えを求められる場合があるが、この場合、収受日付印の押なつされた控えの提出を求める各種機関を把握した際、国税当局から個別に説明を行うとしている。

2.「申告書等情報取得サービス」の利用も

前述した以外に書面提出した申告書等の提出事実及び提出年月日を確認する方法は、「申告書等情報取得サービス」を利用する。所得税の確定申告書、青色申告決算書及び収支内訳書について、書面により提出している場合であっても、パソコン・スマートフォンからe-Taxを利用してPDFファイルを取得することができる。利用は無料だが受付はオンライン申請のみでマイナンバーカードが必要となる。

直近年分の所得税の申告書等の申請は、原則として翌年5月1日以降に可能。例えば、令和6年分の申告書の場合、令和7年5月1日以降に申請できるが、法定申告期限(翌年3月15日)後に申告書等を提出している場合は、税務署における処理状況に応じて時間を要することがあるとしている。

3.「保有個人情報の開示請求」でも確認できる

このほか、「保有個人情報の開示請求」によって、提出した申告書等の内容を確認することができる。但し、写しの交付の場合は1か月程度かかる。税務署の窓口での申請のほか、e-Taxを利用したオンライン請求の手数料は、税務署窓口での申請は300円、オンライン申請は200円。なお、法人の申告書等には利用できない。

税務署の窓口で過去に申告した申告書等を閲覧することもできる「税務署での申告書等の閲覧サービス」(郵送やオンライン申請はできない)も確認方法の一つ。この場合、写真撮影が可能となっている。閲覧対象の申告書等が当日提出したものである場合には、原則として、当日中は閲覧サービスを申請することができない。

税務署の窓口での申請のほか、e-Taxを利用したオンライン申請で「納税証明書の交付請求」を行うことができる。これにより、確定申告書等を提出した場合の納税額または所得金額の証明書を取得することができる。なお、納税証明書では、提出年月日を確認することはできない。手数料は、税目ごと窓口申請で1年度1枚につき400円、オンライン申請は370円となっている。

なお、国税庁では現在、申告書等の控えへの収受日付印の押なつの見直しに関するQ&Aを公開し、納税者に対して周知を図っている。

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