2025年1月からe-Taxがさらに便利に 税理士は個人の顧問先のマイページの閲覧拡大
2024.12.13
はじめに
国税庁では、e-Taxの利便性向上のため随時アップグレードしているが、2025年1月から個人向けに三つ、個人・法人向けに一つの新機能を追加する。
1.マイナンバーカードの読み取りが不要(個人向け)
個人向けの新機能の一つ目としては、スマホ用電子証明書に対応すること。スマホ用電子証明書を利用することで、マイナンバーカードをスマートフォンで読み取らなくても申告書の作成・e-Tax送信ができる。マイナンバーカードの保有者は、マイナポータルアプリからスマートフォンにスマホ用電子証明書の搭載の申し込みが可能だ。
また、利用者証明用電子証明書に設定したパスワードの代わりに、生体認証などを利用できるようになる。ただし、現在はAndroid対応のみで、iOS対応については、デジタル庁で2025年春にスマホ用電子証明書搭載サービスのリリースを予定していることから、順次対応していくとしている。
2.マイページに「贈与税関係」が追加(個人向け)
二つ目は、マイページの「各税目に関する情報」への「贈与税関係」の追加。e-Taxのマイページでは、スマートフォンやパソコンからe-Taxに登録されている「本人(法人)情報設定」や申告の参考となる「各税目に関する情報」について確認できる。この「各税目に関する情報」のなかに「贈与税関係」が追加され、過去にe-Taxで提出した贈与税申告書が見ることができるようになる。
申告書の表示にはマイナンバーカードによるログインが必要となる。
3.ゆうちょ銀行口座の振替依頼書もオンライン提出OK(個人向け)
三つ目は、ゆうちょ銀行において振替納税を開始する際の「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」の提出についてオンライン提出が可能になる。オンライン提出が可能な口座は、総合口座及び通常貯金口座の2種類。これについては2025年4月に対応予定としている。
金融機関を利用する振替納税については、2021年1月から個人の振替依頼書及びダイレクト納付利用届出書をe-Taxで提出可能になっている。やり方としては、パソコンやスマートフォンからe-Tax(Web版・SP版)にログインし、入力画面に沿って必要事項を入力することで、振替依頼書等の記入や金融機関届出印の押印なしに、オンラインで振替依頼書等を提出できる。
今回、ゆうちょ銀行でもオンライン提出が可能になることで、e-Taxの利便性は更に向上し、利用者増につながることが期待されている。
4.税務代理人なら納税者のマイページが閲覧可能に(個人・法人向け)
個人・法人向けの新機能としては、マイページの税務代理人への利用が拡大される。
2019年1月から個人の納税者と税理士は、e-Tax上で委任関係の登録が可能となっており、さらに2021年5月にはこの機能が拡大し、税理士は法人の納税者についても委任関係の登録が可能になっている。委任関係の登録を行うと、納税者から税理士へ「メッセージの共有」ができ、個人の納税者に限っては、税理士の「「確定申告等についてのお知らせ」の自動転送」もおこなえる。
この税務代理人に利用について拡大が図られ、2025年5月を目途に、納税者のマイページで確認できる「各税目に関する情報」をはじめとする情報が参照可能になる。
国税庁が先ごろ公表した「令和5年度におけるオンライン(e-Tax)手続の利用状況等について」のオンライン利用率を見ると、法人税申告が86.2%、消費税申告(法人)が88.7%、所得税申告が69.3%、消費税申告(個人)が73.5%、相続税申告が37.1%となっており、法人に比べて個人の利用がやや遅れている状況。こうしたなか国税庁は個人の利用を後押しするe-Taxの新機能を拡大し、利用促進を図りたい考えだ。