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令和6年度路線価:2010年以降で最も上昇、過去10年で2倍以上の地域も

2024.08.09

はじめに

国税庁は2024年7月1日、相続税や贈与税の土地の評価額の基準となる令和6年度の路線価を公表したが、注目は令和6年度路線価は2010年以降で最も上昇していること。調査対象となった全国およそ32万地点の平均は昨年度と比べて2.3%上昇している。

1.約32万地点の平均は昨年より2.3%上昇

路線価は、1月1日時点で国税庁が算定した全国の主な道路に面した土地の1平方メートルあたりの評価額。相続税や贈与税を計算する際に活用される。

国税庁が7月1日に公表した路線価によると、調査対象となった全国およそ32万地点の平均は昨年度に比べて2.3%上昇。3年連続で前年を上回り、上昇率も現在の算定方法になった2010年以降で最も大きい。国税庁によれば、好調なインバウンド需要や全国で進む再開発などが路線価を押し上げる要因となったとしている。

都道府県別の平均では29の都道府県で昨年を上回り、上昇率が最も大きかったのは、福岡県の5.8%、次いで沖縄県が5.6%、東京都が5.3%などとなっている。

路線価が全国で最も高いのは、39年連続で東京・中央区銀座5丁目の『銀座中央通り』で、老舗文具店「鳩居堂」前の1平方メートルあたりの路線価は4,424万円と昨年より152万円アップした(上昇率は3.6%)。

エリアごとの最高地点で比較すると、今回初めて全国2位となった渋谷の「QFRONT」前が1平方メートルあたり3,224万円だった。

2.関東地方は1都3県で上昇率が高い

関東地方では東京、千葉、神奈川、埼玉の1都3県の上昇率が特に高い。10年前の2014年と比較すると、2倍を超える地域もある。

東京が前の年と比べて5.3%、千葉が4%、神奈川が3.6%、埼玉が2.1%と、上昇率が高かった一方、茨城は0.7%、栃木はマイナス0.2%、群馬はマイナス0.5%と、ほぼ横ばいだ。

関東地方の1都6県に120ある税務署ごとの最高路線価をみてみると、10年前との比較では、神奈川・横浜市の「神奈川区」「港北区」を管轄する『神奈川税務署』で、ことしの最高路線価は1平方メートルあたり404万円と、2014年の128万円の3.15倍に上昇している。

次いで上昇率が高かったのは、東京・台東区の浅草地域を管轄する『浅草税務署』で、154万円⇒448万円の2.9倍。

東京・足立区の千住地域や綾瀬地域を管轄する『足立税務署』が194万円⇒557万円の2.87倍。

千葉県では、市川市や浦安市を管轄する『市川税務署』が86万円⇒195万円の2.26倍。

埼玉県では、さいたま市の大宮区や西区などを管轄する『大宮税務署』が241万円⇒529万円の2.19倍などとなっている。

なお、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県では、最高路線価が10年間で2倍以上に上昇した税務署が15にのぼる。

なお、全国の都道府県別の平均の路線価の増減率については、以下の通り。

北海道 5.2% 東京都 5.3% 滋賀県 0.2% 香川県 ▲0.3%
青森県 0.0% 神奈川県 3.6% 京都府 2.4% 愛媛県 ▲0.8%
岩手県 0.6% 新潟県 ▲0.5% 大阪府 3.1% 高知県 ▲0.1%
宮城県 5.1% 富山県 ▲0.7% 兵庫県 1.2% 福岡県 5.8%
秋田県 0.9% 石川県 1.4% 奈良県 ▲0.2% 佐賀県 2.7%
山形県 0.3% 福井県 ▲0.5% 和歌山県 ▲1.0% 長崎県 0.8%
福島県 0.9% 山梨県 ▲0.2% 鳥取県 ▲0.2% 熊本県 2.7%
茨城県 0.7% 長野県 0.4% 島根県 ▲0.1% 大分県 1.8%
栃木県 ▲0.2% 岐阜県 ▲0.2% 岡山県 1.7% 宮崎県 0.1%
群馬県 ▲0.5% 静岡県 0.0% 広島県 2.4% 鹿児島県 ▲0.7%
埼玉県 2.1% 愛知県 3.2% 山口県 0.6% 沖縄県 5.6%
千葉県 4.0% 三重県 0.1% 徳島県 ▲0.4%

一方で国税庁は1月の能登半島地震による地価の下落を反映するため、被災地域ごとに調整率を定めて路線価を引き下げた。

対象地域は石川県と富山県、それに新潟県の全域で、

  • ・地盤の劣化や道路が壊れたことによる利便性の低下
  • ・鉄道の運休や幹線道路の通行止めといった経済活動の縮小
などを理由に最大で45%、路線価を引き下げた。

これらの地域では、土地の相続税や贈与税が引下げられることになる。

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