定額減税Q&A:給与、年金の両方から定額減税を受けた人はどうなる?
2024.06.13
はじめに
国税庁は6月からスタートした定額減税で、「予定納税・確定申告関係」に関するQ&Aを公表した。これで、「概要・源泉所得税関係」と合わせて、定額減税関係のQ&Aは2種類となった。新たな「予定納税・確定申告関係」のQ&Aでは、給与等と公的年金等の源泉徴収税額の両方から定額減税を受けた人の対応や確定申告で定額減税の適用を受ける場合の申告書の記載事項など13問が掲載されている。
1.新たに13問のQ&Aを掲載
6月から実施されている「定額減税」において国税庁は4月30日、「令和6年分所得税の定額減税Q&A(予定納税・確定申告関係)」を公表した。
新たなQ&Aでは、以下の合計13問が掲載されている。
【令和6年分の所得税に係る予定納税】
- 1-1:令和6年分の所得税に係る納期等の特例
- 1-2:令和6年分の予定納税額
- 1-3:令和6年分の申告納税見積額
- 1-4:予定納税額の減額申請をすることができる場合
- 1-5:予定納税特別控除額
- 1-6:7月の予定納税額の減額申請をする場合の予定納税特別控除額の控除
- 1-7:11月の予定納税額の減額申請をする場合の予定納税特別控除額の控除
【令和6年分の所得税に係る確定申告等】
- 2-1:確定申告において定額減税の対象となる同一生計配偶者等
- 2-2:確定申告において定額減税の適用を受ける場合の申告書の記載事項
- 2-3:給与等と公的年金等の源泉徴収税額から定額減税の適用を受けた者
- 2-4:令和6年6月1日以後に準確定申告書を提出する場合の定額減税
- 2-5:令和6年5月31日以前に準確定申告書を提出している場合の定額減税
- 2-6:純損失の繰戻しがある場合
2.令和6年分の所得税に係る予定納税について
このうち、問1-2「令和6年分の予定納税額」では、「令和6年分の予定納税額として通知される税額は、どのように計算されているのでしょうか」との問いに関して、予定納税の対象となる予定納税基準額(15万円以上の場合は予定納税が必要)は、原則として令和5年分の申告納税額(所得税額及び復興特別所得税額)と同じ金額となり、定額減税額がないものとして計算されることが示されている。その上で、令和6年6月以降に通知される令和6年分の予定納税額からは、本人分に係る定額減税額に相当する金額(3万円)が控除されるとしている。
また、問1-3「令和6年分の申告納税見積額」では、令和6年分の申告納税見積額減額申請に当たって申請書に記入する申告納税見積額について、予定納税基準額と同様に、定額減税額がないものとして計算し、さらに令和6年分の総所得金額の見積額の中に給与所得の金額又は公的年金等に係る雑所得の金額がある場合には、これらの所得につき源泉徴収される所得税の額の見積額についても、定額減税の適用がないものとして計算するとされている。
このほか、予定納税関係では、問1-4において、定額減税制度下で予定納税額の減額申請をすることができるケース、問1-6、1-7で減額申請をする場合の第1期分・第2期分の予定納税額の計算方法が明らかにされている。
3.令和6年分の所得税に係る確定申告等について
次に問2-2「確定申告において定額減税の適用を受ける場合の申告書の記載事項」において、年末調整で同一生計配偶者に係る定額減税の適用を受けている、確定申告で医療費控除の適用を受けたいと思っている人が、確定申告書に定額減税の対象となる同一生計配偶者等の氏名やマイナンバーを記載する必要があるかという問いに関して、「年末調整において同一生計配偶者等に係る定額減税の適用を受けており、確定申告において、医療費控除の適用を受けたいと思っている。年末調整で適用を受けた控除の内容に変更はないが、定額減税の適用に当たり、確定申告書に、対象となる同一生計配偶者等の氏名やマイナンバーを記載する必要があるか」について、「同一生計配偶者等に係る定額減税の適用を受けようとする場合には、確定申告書に、その同一生計配偶者等の氏名、生年月日、マイナンバー等を記載しなければならないこととされている」と回答。そして、配偶者控除や扶養控除等については、年末調整においてそれらの控除を受けた方で、それらの控除についてその控除額及びその合計額に変更がない場合は、その控除の対象である配偶者及び扶養親族の氏名等については確定申告書に記載を要しないが、前述の定額減税の計算の対象となる同一生計配偶者等の氏名、生年月日、マイナンバー等については、年末調整においてその同一生計配偶者等についての定額減税の適用を受けている場合であっても、確定申告書に記載する必要があることしている。
このほかに、問2-3の「給与等と公的年金等の源泉徴収税額から定額減税の適用を受けた者」については、給与等に係る源泉所得税額と、公的年金等に係る源泉所得税額の両方から定額減税を受けた人が確定申告する必要があるかと言う問題について、両方から定額減税の適用を受けていることだけをもって確定申告の義務は発生しないと回答。そして、従来通り①確定申告をすれば税金が還付される人や②給与の収入金額が2千万円以下で、かつ、給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円以下であるなどの一定の要件を満たしていることにより確定申告が不要とされている人、③その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であることにより確定申告が不要とされている人は、確定申告をする必要がないとしている。
なお、国税庁は5月15日付けで「概要・源泉所得税関係」のQ&Aを更新。下記の通り問2-3の回答文のうち下線部分の文言を追加しており、重複控除されていることだけをもって確定申告義務は発生しないとの見解を示している。
<修正>
2-3 公的年金等の支払を受ける給与所得者に対する定額減税【令和6年5月修正】
(問)
厚生労働大臣等から公的年金等の支払を受ける人は、その公的年金等に係る源泉徴収税額から定額減税の適用を受けますが、その人についてもその主たる給与の支払者のもとで、定額減税の適用を受けるのですか。
(A)
公的年金等に係る源泉徴収税額から定額減税の適用を受ける人についても、主たる給与の支払者のもとで定額減税の適用を受けることになります。
なお、給与等と公的年金等との定額減税額の重複控除については、確定申告で最終的な年間の所得税額と定額減税額との精算が行われることとなりますが、重複控除されていることだけをもって、確定申告の義務は発生しません。