国税庁が電帳法におけるインターネットバンキング、ETC利用の保存要件を明らかに
2024.04.24
はじめに
2024年1月から電子帳簿保存法(電帳法)における「電子取引のデータ保存」が義務化されたが、国税庁は「お問い合わせの多いご質問」に新たな問答を追加し、インターネットバンキングのオンライン上の通帳や入出金明細等による「オンライン上の保存も可能」との回答を示した。
1.ネットバンキング利用での保存要件
インターネットバンキングの利用者が増えるなか、紙の通帳ではなく、オンライン上の通帳や入出金明細で銀行取引を管理するケースが増えた。電帳法に基づけば、インターネットバンキングを利用した振込などに係る「取引年月日」「金額」「振込先名」などが記載されたデータは、そのデータ(画面)をダウンロードするかPDFファイルで保存する必要がある。そのため、国税庁では、インターネットバンキングの通帳や入出金明細等も同様に保存すれば、電帳法対応と認めることができるとの見解を示した。
ただ、1件の振込で複数の振込先があるときは、「各振込先」「振込金額」を確認できる書類等の保存も必要としている。なお、オンライン上の通帳等による保存の場合、随時確認が可能な状態であれば、必ずしもオンライン上の通帳等をダウンロードして保存することはないとしている。
また、この取扱いは、電子取引に係る保存義務者において満たすべき「真実性の確保」及び「検索機能の確保」の要件を満たしていることや、税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録の提示等の求めに応じることができるようにしていることが必要としている。
2.高速道路でETCを利用した場合の保存要件
このほか、高速道路のETC利用における電帳法対応についても、保存方法についての見解を追加している。
ETCを利用する場合、クレジット払いとなるため、その利用明細を保存していれば電帳法対応だろうと考えるが、「ETCの利用証明書」はいわゆる物を購入したときの領収書と同じ扱いであるため、基本的には、利用した高速道路会社につき1回のみ取得した利用証明書をダウンロードして保存することが要件を満たすとされる。「ETCの利用証明書」は、高速道路会社が運営するホームページのETC利用照会サービスでダウンロードできる。
ただ、ETCの利用頻度が多い場合、必ずしも利用証明書の全てを受領しているものではないため、法人税及び所得税法上では、納税者が受領していない利用証明書についてまで、あえて発行を受け、ダウンロードして保存する必要はないとしている。
注意したいのが、消費税法における仕入税額控除を適用する場合(簡易課税制度や2割特例を使う場合は除く)。ETCクレジットカードを利用した内容のわかる明細書と、利用した高速道路会社につき1回のみ「ETC利用証明書」を取得してあわせて保存することで、適格請求書(インボイス)の保存があるものと判断され、仕入税額控除が認められる。つまり、「ETCの利用証明書」をダウンロードして保存する必要がある。