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国税庁 新型コロナの対応と申告・納税等のFAQを更新

2023.06.23

はじめに

2023年5月8日から新型コロナウイルス感染症の位置付けが、季節性インフルエンザと同じ「5類」感染症に変更されことを受け、国税庁は税務上の取り扱いに関するFAQを更新した。更新箇所は2カ所で「期限内に申告できなかった場合の個別延長」と「特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税」の適用期限だ。

1.申告・納付が困難な場合の対応

5月8日に更新された「令和5年5月7日までの国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの税務上の取り扱いに関するFAQ」では、新型コロナウイルス感染症の影響により、期限内に申告・納付等ができなかった場合の個別延長の適用について、確定申告期を念頭に置いていた還付申告に関する記載が削除された。

これにより、期限内に申告・納付等ができなかった場合の個別延長の適用については、

  • ①「やむを得ない理由がある」
  • ②「税務署長の承認」により、「『やむを得ない理由』がやんだ日から2カ月以内の期間延長」

を認めるとしている。

具体的に、①「やむ得ない理由」については、新型コロナウイルス感染症に関してこれまでの災害時に認められていた理由のほかに、「納税者又は税務代理等を行う税理士等が感染するなど、新型コロナウイルス感染症の影響により申告書や決算書類などの国税の申告・納付等の手続に必要な書類等の作成が遅れ、その期限までに申告・納付等を行うことが困難な場合には、個別指定による期限延長が認められる」と記載されている。

これまでは、「やむ得ない理由」については、以下のような内容が記載されていた。

〔個人・法人共通〕

  • ・納税者や法人の役員、経理責任者及び税務代理等を行う税理士(事務所の職員を含みます。)が、感染症に感染した等の事情により、保健所・医療機関・自治体等から外出自粛の要請を受けたこと。
  • ・納税者や法人の役員、経理責任者及び税務代理等を行う税理士(事務所の職員を含みます。)などが、現在、外国に滞在しており、ビザが発給されない又はそのおそれがあるなど入出国に制限等があること。
  • ・次のような事情により、企業や個人事業者、税理士事務所などにおいて通常の業務体制が維持できない状況が生じたこと。
    • ➣経理担当部署の社員が、感染症に感染した、又は感染症の患者に濃厚接触した事実がある場合など、当該部署を相当の期間、閉鎖しなければならなくなったこと
    • ➣学校の臨時休業の影響や、感染拡大防止のため企業が休暇取得の勧奨を行ったことで、経理担当部署の社員の多くが休暇を取得していること
    • ➣新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、生活の維持に必要な場合を除きみだりに自宅等から外出しないことが求められ、在宅勤務の体制も整備されていない等の理由から、経理担当部署の社員の多くが業務に従事できないこと

〔法人〕

  • ・感染症の拡大防止のため多数の株主を招集させないよう定時株主総会の開催時期を遅らせるといった緊急措置を講じたこと。

〔個人〕

  • ・相続人の一人が新型コロナウイルス感染症に感染したことにより、期限までに申告できない場合。

②「税務署長の承認」については、所轄税務署に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を申請することで、承認を受けることができるとされ、これまでと変わりない。

承認を受けた場合、その理由がやんだ日から2カ月以内の範囲で期限延長が認められることになる。なお、「やむを得ない理由」については、税務署から内容を確認することもあるとしている。

2.特別貸付けにおける契約書の印紙税の非課税措置

もう一つの更新箇所は、「特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税」についての取扱い。非課税措置の適用期限が、2023年3月31日から2024年3月31日に延長されたことに伴い更新された。

非課税措置は、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置により、事業に大きな影響を受けた事業者に対して、一定の金銭の貸付けが行われた際に2024年3月31日までに作成される「消費貸借契約書」は、印紙税を非課税とするもの(新型コロナ税 特法 11 条)。

この非課税措置の対象となる「消費貸借契約書」は、公的貸付機関等(地方公共団体、政府系金融機関等)又は金融機関(銀行、信用金庫、信用協同組合等の民間金融機関)が、他の金銭の貸付けの条件に比べ特別に有利な条件で行う金銭の貸付けに際して作成されるものとしている。既に印紙税を納付している場合には、過誤納となった契約書等を提示又は過誤納となった事実を金融機関等が証明した書類と、「印紙税過誤納確認申請書」を税務署に提出し、税務署長の過誤納確認を受けることにより、その納付された印紙税額に相当する金額の還付を受けることができるとされている。

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