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財務省 インボイス制度の負担軽減措置でFAQを公開

2023.03.13

はじめに

財務省は1月20日、令和5年度税制改正大綱に盛り込まれたインボイス制度に係る改正について、「インボイス制度の負担軽減措置(案)のよくある質問とその回答」と題した、全21問のFAQを公表した。いわゆる「2割特例」の適用要件や「少額特例」、登録制度の見直しとその手続きなどについて解説している。

1.経過措置(2割特例)について

令和4年12月26日に閣議決定した令和5年度税制改正の大綱では、インボイス制度の負担軽減措置として、

  • 1.小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)
  • 2.一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例)
  • 3.少額な返還インボイスの交付義務免除
  • 4.登録制度の見直しと手続きの柔軟化

が盛り込まれた。

財務省のFAQでは、この4つについて全21問を解説しているが、ここではその中のいくつかのポイントについて紹介する。

【小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)】

大綱では、小規模事業者の税額及び事務負担の軽減措置として、免税事業者が適格請求書等発行事業者(インボイス発行事業者)になるか課税事業者を選択した場合に納税額を売上税額の2割に軽減する措置(2割特例)を3年間講じるとしている。

これについてFAQでは、2割特例の適用対象者としては、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になった者であり、

具体的には、

  • ・免税事業者がインボイス発行事業者の登録を受け、登録日から課税事業者となる者
  • ・免税事業者が課税事業者選択届出書を提出した上で登録を受けてインボイス発行事業者となる者

また、基準期間における課税売上高が1千万円を超える場合や、資本金1千万円以上の新設法人である場合、調整対象固定資産や高額特定資産を取得して仕入税額控除を行った場合、インボイス発行事業者の登録と関係なく事業者免税点制度の適用を受けないこととなる場合などは、課税期間を1ヵ月又は3ヵ月に短縮する特例の適用を受ける場合についても2割特例の対象とならないとしている。

2割特例の適用期間については、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間としているが、FAQでは、免税事業者である個人事業者が令和5年10月1日から登録を受ける場合には、令和5年分(10~12月分のみ)の申告から令和8年分の申告までの計4回の申告が適用対象となるとしている。

また、免税事業者である3月決算法人が令和5年10月1日から登録を受ける場合には、令和6年3月決算分(10月~翌3月分のみ)から令和9年3月決算分までの計4回の申告が適用対象となると説明している。

2.軽減措置(少額特例)について

【一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例)】

大綱では、基準期間における課税売上高が1億円以下または課税売上高が5千万円以下の事業者については、インボイス制度の施行から6年間、税込1万円未満の課税仕入れについて、インボイスの保存がなくても「帳簿のみ」で仕入税額控除が認められる措置が盛り込まれた。

FAQでは、適用対象者の「特定期間」について、個人事業者については前年1~6月までの期間、法人については前事業年度の開始の日以後6月の期間としている。なお、特定期間における5千万円の判定については、課税売上高による判定に代えて給与支払額の合計額の判定はできないとしている。

適用期間については、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの期間としており、たとえ課税期間の途中であっても、令和11年10月1日以後に行う課税仕入れについては、少額特例の適用はないと説明している。

3.交付義務免除と登録見直し手続きの柔軟化

【少額な返還インボイスの交付義務免除】

売上に係る対価の返還等が税込1万円未満の場合、インボイスの交付義務が免除されることが大綱に盛り込まれた。例えば、売上金額が振込手数料を差し引いて支払われた場合の手数料部分などが考えられる。FAQでは、適用対象には制限を設けない恒久措置と説明している。

【登録制度の見直しと手続きの柔軟化】

大綱には、中小企業を中心にインボイス制度への準備が進まないことへの配慮として、インボイス発行事業者登録手続きを柔軟化する見直しが盛り込まれている。具体的には、令和5年10月1日のインボイス制度の開始にあわせて登録を受けるための期限は、令和5年3月31日とされているが、FAQでは、4月以降の登録申請であっても、宥恕規定の適用を受けることで9月30日までに行われたものについては、インボイス制度が開始する令和5年10月1日に登録を受けることが可能としている。

詳しいFAQの内容については、以下を参照。

財務書HP:インボイス制度の負担軽減措置(案)のよくある質問とその回答

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