国税庁がデジタル化対応で新ポスト
2023.02.21
はじめに
国税庁はこのほど、令和5年度の予算及び機構概要等を発表した。それによると、税務行政のデジタル化対応を進めるため、東京国税局に新たな部門を設置。全国レベルの情報システム管理を行っていく。重点施策の一つである消費税に関しても、全国で管理官ポストを増設している。
1.東京国税局に「情報システム部」を新設
国税庁は先頃、令和5年度予算及び機構の概要を公表した。機構関係では、増員1,178人に対して、定員合理化数として1,141人、最終的に37人増加した。これにより、令和5年度の国税庁は全体で5万5,985人体制となっている。
出典:国税庁HP
新設部門に関しては、税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(DX)対応の一環として、東京国税局に「情報システム部」を新設。全国レベルの情報システムの管理運用をしている同局総務部情報システム課を部に昇格させた。今後は、ここが中心となり、全国レベルの情報システムの管理運用をしていく。
現在、重点施策の一つとして力を入れている消費税においては、不正還付対応として国税庁消費税室に課長補佐を1名増員、税務署においても東京・上野、東京・渋谷、名古屋・中川、京都・下京、大阪・東、大阪・南の各署に消費税専門官をそれぞれ1名、計6名増員する。
徴収部門も強化し、東京国税局徴収部に特別国税徴収官を1名増員する。
もう一つの重点施策の国際関係では、OECDの新たな国際課税ルールへの対応として、国税庁国際業務課に2名、調査課1名の課長補佐を増員する。
国際取引及びデジタル化対応関係の延長線上では、複雑化する調査対応のため、国税庁の課税総括課及び消費税室に課長補佐をそれぞれ1名増員。国税局においては、国際税務専門官を東京に1名、大阪に2名、情報技術専門官を大阪に1名、査察機動専門官を東京に1名増員する。税務署においては、特別国税調査官及び統括国税調査官をそれぞれ3名増員する。
審理部門の強化としては、沖縄国税事務所に新たなポスト「審理官」(仮称)を設けるほか、群馬・高崎、埼玉・越谷の各税務署に審理専門官をそれぞれ1名、計2名増員する。
2.内部事務の集約処理を行うセンター化も
複数の税務署の内部事務を国税局のセンターで集約して処理する、当局の新たな組織運営の柱である「内部事務のセンター化」対応については、国税局の統括国税管理官(東京6、金沢1、名古屋2、大阪4、広島1、高松1、福岡1)、主任国税管理官(札幌2、仙台4、東京66、金沢8、名古屋21、大阪42、広島8、高松6、福岡6、沖縄1)を増員。体制強化を推進していく。詳細は以下の通り。
出典:国税庁「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2.0-」
このほか、大阪国税局の資料総括課に1名、関東信越及び名古屋国税局に源泉納付指導専門官をそれぞれ1名の計2名、税務署に評価専門官を1名増員する。
なお、国税庁では、こうした経済取引の複雑化・国際化、ICT化の進展などに対応するため、令和5年度は同4年度当初予算より162億3,800万円多い6,416億3,800万円(前年度比2.6%増)を組んでいる。
ただ、同4年度から政府情報システムに関する予算はデジタル庁に一括計上されており、国税庁の情報化費やe-Taxなどの政府情報換算予算を除いた金額となっている。