国税庁 インボイスの取り扱いを示したQ&Aに11問追加、15問訂正
2023.01.20
はじめに
いよいよ今年10月1日からスタートする、消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)。実務家の間で注目されていた短期前払費用の取扱いや、建設工事等の請負契約に伴う値増金について、国税庁は先頃対応方法などをQ&Aに追加した。
1.新たに追加された11問
国税庁は、インボイス制度の導入に当たって、取り扱いなどに関して「インボイス制度に関するQ&A」を公表しているが、2022年11月25日に同Q&Aを改訂(前回改訂は2022年4月28日)し、新たに11問を追加し、15問の改訂を行った。
追加された11問は以下の通り。
- ・継続した取引における修正した適格請求書等の交付方法(問31)
- ・値増金に係る適格請求書の交付(問32)
- ・複数の取引をまとめた請求書の交付(問57)
- ・物品切手等を値引販売した場合の適格請求書の記載事項(問62)
- ・提供した適格請求書に係る電磁的記録の保存方法(問72)
- ・提供した適格請求書に係る電磁的記録の保存形式(問73)
- ・出来高検収書の保存による仕入税額控除(問87)
- ・短期前払費用(問88)
- ・郵便切手類又は物品切手等により課税仕入れを行った場合における課税仕入れの時期(問89)
- ・物品切手等により課税仕入れを行った場合における課税仕入れに係る支払対価の額(問90)
- ・外貨建取引における仕入税額の計算方法(問109)
このうち、実務家から関心の高かった「値増金に係る適格請求書の交付」(問32)については、請負工事等の値増金に係るインボイスの交付を前提として、建設工事等の請負契約に伴い収受する値増金は、対価の一部を構成するが、値増金は相手方との協議で収入すべきことが確定した日に属する課税期間の課税標準額に算入することから、当初交付した請求書とは別に値増金に係る請求書を交付している場合、それぞれの請求書をもって適格請求書(インボイス)として取り扱うとしている。
また、「複数の取引をまとめた請求書の交付」(問57)については、インボイスにおける1円未満の端数処理は、ひとつのインボイスにつき税率ごとに1回の端数処理としていることから(インボイス通達3-12)、複数契約をまとめてひとつの請求書を発行するなど、個々の契約の端数処理した消費税額を合計したものはインボイスの記載要件を満たさないとしている。
短期前払費用(問88)については、法人税法で認められている短期前払費用の損金算入規定を適用する場合、インボイス制度が導入されても、その課税仕入れは、支出した日の属する課税期間において行ったものとして取り扱われるとしている。また、その時期にインボイスの交付を受けられなかった場合も、事後に交付されるインボイスを保存することで仕入税額控除の適用が認められるとしている。
このほか、「郵便切手類又は物品切手等により課税仕入れを行った場合における課税仕入れの時期」(89問)については、消費税法では原則、郵便切手は投函時等に課税仕入れの対象になるとしているが、継続適用を前提に郵便切手類の購入時の課税仕入れも認められているため、インボイス制度スタート後も、従来同様に購入時に課税仕入れとして計上し、一定の事項を記載した帳簿の保存を前提に、仕入税額控除の適用を受けるとしている。
2.訂正された15問
- ・新たに設立された法人等の登録時期の特例(問12)
- ・事業の廃止や法人の合併による消滅があった場合の手続(問15)
- ・適格簡易請求書の交付ができる事業(問24)
- ・自動販売機及び自動サービス機の範囲(問40)
- ・媒介者交付特例(問41)
- ・複数の委託者から委託を受けた場合の媒介者交付特例の適用(問42)
- ・外貨建取引における適格請求書の記載事項(問59)
- ・適格請求書の写しの電磁的記録による保存(問70)
- ・提供された適格請求書に係る電磁的記録の書面による保存(問75)
- ・立替金(問84)
- ・見積額が記載された適格請求書の保存等(問86)
- ・帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿への一定の記載事項(問98)
- ・適格請求書等保存方式の下での税額計算の概要(問100)
- ・課税期間をまたぐ適格請求書による売上税額の計算(問107)
- ・仕入税額の計算方法(問108)