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令和5年度与党税制改正大綱 インボイス制度、電帳法で中小事業者への配慮を盛り込む

2022.12.22

はじめに

自民・公明両党は12月16日、令和5年度与党税制改正大綱をまとめた。年末には、同大綱をベースとした政府・税制改正大綱が閣議決定され、2023年3月末までに国会審議を経て政省令が公布される予定だ。

大綱には、「貯蓄から投資」の流れを加速し、家計の資産を貯蓄から投資へと積極的に振り向け、資産所得倍増につなげるため、NISA(少額投資非課税制度)の抜本的拡充・恒久化が盛り込まれた。

具体的には、一定の投資信託を対象とする長期・積立・分散投資の枠、いわゆる「つみたて投資枠」について、現行の年間40万円の「つみたてNISA」の3倍となる 120万円まで拡充する。

また、現行の一般NISAの役割を引き継ぐ「成長投資枠」を設け、「つみたて投資枠」との併用を可能とすることが盛り込まれた。「成長投資枠」の年間投資上限額は、現行の一般NISAの水準の2倍となる 240 万円まで拡充。これにより、年間投資上限額の合計は 360 万円となる。

一方、投資余力が大きい高所得者層への優遇にはならないように、年間投資上限額とは別に、一生涯にわたる非課税限度額を設定。総額は、老後等に備えた十分な資産形成を可能とする観点から、現行の「つみたてNISA」の2倍以上となる 1,800 万円とすることが盛り込まれた。また、「成長投資枠」については、現行の一般NISAの2倍となる 1,200 万円まで拡充する。

1.相続・贈与税の見直し

相続開始前3年以内に受けた贈与の持ち戻しについては、持ち戻し期間を7年に延長することが盛り込まれた。その際、過去に受けた贈与の記録・管理に係る事務負担を軽減する観点から、延長した期間(4年間)に受けた贈与のうち一定額については、相続財産に加算しないとされた。

「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」は、節税的な利用につながらないよう所要の見直しの上、適用期限を3年延長。また、「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」についても、節税的な利用につながらないよう所要の見直しの上、適用期限を2年延長するとされた。

2.消費税・インボイス制度

2023年10月からスタートする適格請求書等保存方式、いわゆる「インボイス制度」についても、中小企業や個人事業者向けに、一部見直すことが盛り込まれた。

2023年10月1日から2026年9月30日までの各課税期間で、免税事業者が適格請求書発行事業者となった、または課税事業者選択届出書を提出した場合、納税額を売上税額の2割に軽減することとしている。この措置によって、簡易課税制度の適用を受ける場合に比べ、更に事務負担が軽減される。

また、基準期間における課税売上高が1億円以下、または特定期間における課税売上高が5,000万円以下である事業者が、2023年10月1日から2029年9月30日までの間に国内で行う課税仕入について、支払い額が1万円未満なら、一定の事項が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除を認める経過措置を講ずることが盛り込まれた。

このほか、インボイスの登録手続についても、一部見直しとなった。課税期間の初日から登録を受ける場合や、課税期間の初日から登録を取消す場合、届出書の提出期限が課税期間の初日の1月前の日から15 日前の日に緩和することが盛り込まれている。

3.電子帳簿保存法の見直し

電子帳簿等保存制度の「スキャナー保存」に関して、解像度、階調などの情報保存要件を廃止するほか、記録事項の入力者などに関する情報の確認要件についても廃止する。

相互関連性要件については、2024年1月1日以後の保存については、契約書・領収書などの重要書類に限定する。

「電子データの保存」については、①前々事業年度等の売上高5,000万円(現行1,000万円)以下の者、あるいは、②データを出力した書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力され、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたものに限る。)の提示・提出の求めに応じることができるようにしている者を対象に、これらの者に該当すれば、検索要件以外の保存要件にしたがって電子データを保存(検索要件全て不要)すればよいこととなる。なお、2023年末までの宥恕措置は適用期限到来をもって廃止される。

出典:自民党 令和5年度与党税制改正大綱

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