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インボイスでの自治体入札排除 総務省が「適当ではない」と通知

2022.11.21

はじめに

総務省は、2023年10月1日からスタートする消費税の適格請求書等発行方式(インボイス制度)において、「適格請求書発行事業者」を入札参加資格とすることについて「適当ではない」との通知を発出した。財務省からも各省庁に地方自治体などの入札から免税業者を排除することは妥当ではないとの判断を伝えている。

1.免税事業者の排除に意見多数

2023年10月1日からインボイス制度がスタートすると、消費税の仕入税額控除は、課税事業者である適格請求書発行事業者が発行する適格請求書(インボイス)でなければできなくなる。つまり免税事業者との取引においては、仕入税額控除ができなくなるわけだ。自治体取引においても例外ではない。

そのため総務省では、インボイス制度のスタートに際して、2022年6月20日付けで、都道府県に対して「インボイス制度への対応に係る留意事項について」を発出。その中で、地方公共団体に『売り手』としてインボイス発行を求めることを通知していた。

こうした通知を受けて福島市がホームページには「令和5・6年度入札参加資格申請の手引き」において、「インボイス制度の登録がない場合、水道局及び下水道室発注の工事等の受注ができなくなります」と記載。この記載について、一部団体等から地方自治法施行令第167条の5又は第167条の5の2の規定に基づき、競争入札に参加する者に必要な資格として、新消費税法第2条第1項第7号の2に規定する適格請求書発行事業者であることを要件とする資格を定めることの可否についての問い合わせが寄せられていた。なかには、「消費税の免税事業者を公契約から排除することになる。小規模企業振興基本法や振興条例の趣旨に反するものだ」との意見もあった。

2.総務省が「適当ではない」と通知

これらを受けて総務省や財務省は検討をすすめ、総務省は10月7日付けで「競争入札において消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)に関する入札参加資格を定めることについて」とする通知を発出。「適格請求書発行事業者でない者を競争入札に参加させないこととするような資格を定めること」や「適格請求書発行事業者であることを競争入札に参加する者に必要な経営の規模及び状況に関する要件とする資格を定めること」は「適当ではないと考える」と明記した。

自治体の競争入札に参加する者に必要な資格として、消費税の「適格請求書発行事業者」であることを要件とすることが「適当ではない」とされたのだ。

なお、財務省においても、各省庁に地方自治体などの入札から免税事業者を排除することについて「妥当ではない」との判断が伝えられている。

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