税理士、公認会計士向け総合支援情報サイト

TOPコラム一覧節税保険の封じ込めで国税庁が金融庁と連携強化

節税保険の封じ込めで国税庁が金融庁と連携強化

2022.08.15

はじめに

金融庁は2022年7月14日、ホームページで「節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品への対応における国税庁との更なる連携強化について」を公表した。たびたび保険会社に注意喚起を促すも、保険会社の節税商品開発・販売に歯止めがかからないことから、金融庁と国税庁では更なる関係強化で、保険契約者の保護に力を入れていくのが狙い。

1.目的は保険契約者の保護

租税回避を目的とした保険商品に経営者などの関心が集まるなか、金融庁と国税庁は更なる連携強化を図りながら、節税保険の封じ込めに力を入れていく。

その狼煙となったのが、7月14日に金融庁が公表した「節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品への対応における国税庁との更なる連携強化について」。

2019年2月、国税庁は生命保険各社を呼び出し、「節税保険」(節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品)に対する規制強化の方針を示した。いわゆる"バレンタイン・ショック"だ。

これ以降も金融庁は度々、保険会社に対して租税回避を目的とした保険商品の開発や募集活動について注意喚起をしてきたものの、依然として改善されないことから、国税庁との関係強化で商品審査段階及びモニタリング段階での取組みを通じて、より一層の保険契約者保護を進めていくこととしている。

取組みの詳細として「国税庁との更なる連携強化について」のリーフレットが公表されている。

それによると、商品審査段階では、

  • (1)金融庁から保険会社に対して、国税庁への税務に関する事前照会を慫慂。
  • (2)保険会社から同意を得た上で、必要に応じて、金融庁からも国税庁に事前照会を実施。
  • (3)金融庁において、事前照会の結果を商品審査で参考情報として活用(事業方法書への募集管理態勢に関する記載の指導等)、などの連携を実施。

またモニタリング段階では、

  • (1)両庁の定期的な意見交換の場等を通じて、国税庁から金融庁に対して、保険商品に関する節税(租税回避)スキームの情報提供。
  • (2)金融庁において、国税庁からの情報や独自に把握した情報を活用し、保険会社・保険代理店における募集管理態勢の整備状況や販売実態等のモニタリング等を実施。
  • (3)金融庁から国税庁に対して、商品開発や募集現場で利用されるスキームの情報提供、などの連携を実施する。

2.金融庁が行う情報収集

金融庁では、前述した「商品審査」「モニタリング」を通じて、法人等向けの保険商品について、法人等の財テクなどを主たる目的とした契約になっていないか、また当初から短期の中途解約前提の契約で、保険本来の趣旨から逸脱した商品内容になっていないかなど、保険商品を厳しくチェックしていく構えだ。

なお、金融庁では現在、「節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品」に関して広く情報を募集している。一層の保険契約者保護を図るため、保険会社及び保険代理店における保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動に関する情報を持っている人は情報提供窓口まで連絡するよう呼びかけている。

ページの上部へ