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中企庁「経営力再構築伴走支援」を全国展開 官民一体で中小企業に寄り添ったサポート

2022.07.15

はじめに

政府は、新たな事業で成長を目指す中小企業や小規模事業者を支援するため「経営力再構築伴走支援」を開始した。全国展開の第一歩としてこのほど、各機関の連携を目的に、商工団体、士業団体、金融機関等、独立行政法人で組織する「経営力再構築伴走支援推進協議会」を設立した。政府が進める経営力再構築伴走支援とはどのようなものなのだろうか。

1.経営課題設定型の伴走支援事業をスタート

経済センサス活動調査によると、日本の企業の99.7%が個人事業主を含む中小企業、そこで働く従業員は68.8%を占める。そのため、中小企業の経営状況の悪化は日本経済に直結する。そこで政府は、中小企業の成長支援のため、新事業で成長を目指す中小企業や小規模事業者を対象に伴走支援事業を展開しているがこのほど、新たな伴走支援事業をスタートさせた。

従来の伴走支援は補助金や融資などに重点が置かれてきたが、不確実性の時代においては、「経営力そのもの」が問われるため、そもそも何を経営課題として認識・把握するかという課題設定型の伴走支援「経営力再構築伴走支援事業」を展開していく。

政府は令和3年10月、「伴走支援の望ましい伴走支援の在り方検討会」を設置、伴走支援の現場で大きな成果を挙げてきた有識者と議論を重ね、「経営力再構築伴走支援モデル」として取りまとめた。その中で、経営者、その支援者が取るべき基本的なプロセスは、「経営課題の設定→課題解決策の検討→実行→検証」であり、課題設定を「入口」として課題解決を「出口」とするとある。以下、その内容だ。

経営者の行動

(出典:中小企業庁「経営力再構築伴走支援の全国展開」より)

2.商工団体や士業団体らで推進協議会を発足

新たな伴走支援は、経営者や従業員との対話を通じて「腹落ち」に導き、その潜在力を引き出すことにより、経営上のさまざまな障碍を自らで乗り越えることを可能にする。支援者が経営者に徹底して伴走するこのモデルは、「腰を据えた」経営変革に取り組む。予算措置や税制の活用は、目前の課題解決につながるものの、それだけでは経営の変革にまでは至らないことが多い。経営力再構築伴走支援によって、経営者の経営力、課題設定力、自己変革力、自走力を高め、次々に直面するさまざまな経営上の課題を乗り越えることができるようにする。短期的な成果にとどまらず、真の意味で成長力を高める変革を目指す。

具体的には、経営者は課題設定を行い経営変革させていく上で多くの壁に直面するが、それを第三者による伴走支援によって、それらの壁を乗り越えることで自走化に導き、自己変革力の会得を促す。以下、政府が考える第三者による伴走支援だ。

自己変革への「5つの壁」

(出典:中小企業庁「経営力再構築伴走支援の全国展開」より)

自治体によっては、すでに経営力再構築伴走支援の申込の受付を開始しているところもある。それについては、経済産業省の各地の経済産業局ホームページなどを参照されたい。

なお、こうした新伴走支援の第一歩としてこのほど、全国展開を加速させるため、商工団体、士業団体、金融機関等、独立行政法人の各機関の連携を促進する「経営力再構築伴走支援推進協議会」を設立。協議会を構成する各団体が一堂に会し、経営力再構築伴走支援に関する今後の取組への抱負等について表明する発足式を開催した。

援推進協議会について

(出典:中小企業庁「経営力再構築伴走支援の全国展開」より

今後は半年に1度程度協議会を開催、伴走支援を実施するためのさまざまな論点を議論するための実務者会議を設置していく。

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