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令和4年10月から士業事務所も職員5人以上なら社会保険に強制加入

2022.05.24

はじめに

社会保険は令和4年10月1日から、常時5人以上の職員を雇用していれば、弁護士や公認会計士、税理士、社会保険労務士など、士業事務所も強制加入となる。現在、士業事務所は法人ならすべて社会保険に加入する必要があるものの、個人事業所は対象外。そのため、対応に迫られる士業事務所はポイントを押さえておく必要がある。

1.対象となるのは税理士ら10士業

令和2年5月に成立した新年金制度により、同4年10月1日から社会保険に強制加入になる適用条件が拡大する。給与計算など、毎月の収入に関わるため早目の対策を心掛けたい。

現在の法律では、

  • ① 法人事業所で常時従業員(事業主のみの場合を含む)を使用するもの
  • ② 常時5人以上の従業員が使用される事務所、工場、商店等の個人事業所

の要件を満たす事業所及び労働者は、社会保険(厚生年金保険・健康保険)に加入する必要がある。これはフルタイムで働く正社員だけでなく、1週間の所定労働時間及び1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上であるパートやアルバイトなども対象だ。

ただし、法人でなければ一定の業種は適用除外とされている。

例えば、

  • (1) 第一次産業・・・農林業、水産業、畜産業等
  • (2) 接客娯楽業・・・旅館、料理飲食店等
  • (3) 法務業・・・・・弁護士、弁理士、公認会計士、社会保険労務士、税理士等
  • (4) 宗教業・・・・・神社、寺院、教会等

など。

ところが、これが同4年10月から、前述の「適用除外」の業種のうち(3)法務業でも5人以上の従業員を雇用している士業事務所は、社会保険(厚生年金保険・健康保険)の強制適用事業所になる。

対象となるのは以下の10士業だ。

  • ・弁護士
  • ・公認会計士
  • ・税理士
  • ・弁理士
  • ・司法書士
  • ・行政書士
  • ・土地家屋調査士
  • ・社会保険労務士
  • ・公証人
  • ・海事代理士

2.健康保険の加入にも注意が必要

これにより、勤務税理士・従業員の「協会けんぽ」と「厚生年金保険」への加入が義務付けられる(事業主は社会保険の適用外)。

社会保険の強制加入となる従業員の範囲は、以下の通り。

  • ① 正社員の方
  • ② パート・アルバイト等のうち、1週間の所定労働時間及び1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上である方

強制適用事務所になると、厚生年金保険は原則、70歳まで加入。任意適用をしないまま令和4年10月になってしまったら強制適用となり、10月以降速やかに「新規適用届」と「被保険者資格取得届出」などを提出しなければならない。

ただし、健康保険については、令和4年9月30日時点で税理士国民健康保険組合(以下、「税理士国保」)に加入していれば、所轄の年金事務所に健康保険の適用除外承認申請を行い、承認を得ることで、従来通り「税理士国保」にそのまま継続加入することも可能だ(厚生年金保険は強制加入)。

*注意:税理士国保は、勤務税理士・従業員のみの加入はできないため、勤務税理士・従業員が加入する場合は、事務所代表者である所長税理士の加入が必須となる。

「税理士国保」の保険料は、「協会けんぽ」のような標準報酬による賦課方式でなく、資格区分(税理士、勤務税理士、従業員、家族)に応じた定額保険料となっている。そのため「税理士国保」では、「協会けんぽ」のような賞与に係る保険料はない。また、「税理士国保」も「協会けんぽ」と同様に、勤務税理士・従業員・家族の保険料の半分を事業主が負担する。

なお、一旦、令和4年10月1日以降に「協会けんぽ」の強制適用を受けると「税理士国保」への加入はできない。令和4年9月30日までに「税理士国保」に加入し、かつ法施行日(令和4年10月1日)から14日以内に「健康保険被保険者適用除外承認申請書」を所轄の年金事務所に提出し、承認されれば「協会けんぽ」に加入せず、そのまま「税理士国保」の加入資格を継続することができる。

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