事業復活支援金の給付開始 税理士が登録確認機関として給付サポート
2022.02.25
はじめに
政府は現在、新型コロナウイルス感染症の影響で売上を落とした中小企業や個人事業主(以下、中小企業等)に対し、「事業復活支援金」を給付している。中小企業には最大250万円、個人事業主は同50万円が給付される。事業復活支援金は、条件を満たせば返済の必要なく給付を受けることができる。登録確認機関である税理士や行政書士などの事前確認が必要で、顧問税理士が登録認定機関なら一部申請が省略化できる。申請期間は2022年5月31日まで。
1.新型コロナウイルス感染症の影響で経営が悪化
新型コロナウイルス感染拡大の影響で売上が減った中小企業等に現金を給付する「事業復活支援金」の受付が2022年1月31日から5月31日までおこなわれている。上限額は、中小企業が250万円、個人事業主が50万円。給付対象になる中小企業等の条件は、
- (1) 新型コロナウイルス感染症の影響で経営が悪化した
- (2) 対象月の売上が「30%以上50%未満減」か「50%以上減」になった
を満たしていること。
新型コロナウイルス感染症の影響で経営が悪化したと判断されるのは、緊急事態宣言やまん延防止重点措置の発令により、休業、時短営業、イベントの延期・中止などを余儀なくされ、業務上不可欠な取引や営業機会の制約を受けた場合。また、国や地方自治体の要請を受けなくても、コロナ禍によって顧客や取引先から要請を受けた場合なども対象となる。
たとえば、経産省が示す概要によると「卸先の店舗」や「イベントの主催者」の判断で休業(または時短営業やイベントの延期・中止)となったことも含まれるとしており、その影響で自社の製品やサービスが売れなくなった場合も含まれると解釈される。
この他、外出や移動の自粛などの影響で売上が激減したなども対象となるとしており、経産省が示す概要では「個人消費の機会の減少」によって売上が減少した場合も対象としている。つまり、BtoCの事業についても対象となるわけだ。
たとえば、緊急事態宣言やまん延防止重点措置が発令されていない地域において、大都市圏からの観光客をあてにしている地方都市の温泉旅館や商業施設などの場合などがこれに該当してくる。コロナ禍でリモートワークが進み、女性が化粧をする機会が減ったと言われるが、その影響で化粧品業界は売上を大きく減らした。こうした場合も、上記に該当してくる。
また、海外の都市封鎖などの新型コロナウイルス関連規制で海外現地の需要が減ったことなども該当する。
新型コロナウイルス感染症の影響
逆に該当しないのは、売上計上基準の変更や顧客との取引時期の調整により売上が減少している場合。通常事業収入を得られない季節性の強い事業、たとえば夏場の海水浴場における繁忙期や農産物の出荷時期以外を対象月とすることで、算定上の売上が減少している場合などは対象外だ。
2.対象月の売上が「30%以上50%未満減」か「50%以上減」
売上減の条件は、「30%以上50%未満減」と「50%以上減」の場合の2つがあり、減少幅によって給付額の上限が変わる。
事業復活支援金の給付上限額
具体的には、対象月、基準期間、基準月がベースになる。
- ・対象月=2021年11月~2022年3月のいずれかの月。売上の減少幅が大きい月を選ぶことができる。
- ・基準期間=「2018年11月~2019年3月」「2019年11月~2020年3月」「2020年11月~2021年3月」のいずれかの期間。基準月を含む期間を選ぶ。
- ・基準月=対象月の売上高と比較する月。対象月の売上高と基準月の売上高の差が大きいほど支援金の額は大きくなる。
売上減の条件は、対象月の売上高が基準月の売上高と比較して「30%以上50%未満減」または「50%以上減」の場合に給付条件をクリアする。
つまり、30%以上減額していれば給付されるわけだが、「2018年11月~2021年3月までの間の任意の同じ月」と比較して、売上高減少率がもっとも大きい月を探し、50%以上減っている月があれば、それが基準になるため最高限度額は上がる。
事業復活支援金は中小企業等にとって、重要な運転資金。対象になっている中小企業等は「取りこぼし」がないようにしたい。
図表の出典:経済産業省 事業復活支援金ホームページ