税理士、公認会計士向け総合支援情報サイト

TOPコラム一覧令和3年分確定申告~ここが変わる! 3つのポイント~

令和3年分確定申告~ここが変わる! 3つのポイント~

2021.12.10

はじめに

令和3年分の所得税確定申告書の提出期間は、緊急事態宣言などの影響で変更がなければ、令和4年2月16日(水)~同年3月15日(火)まで。今回は特に大きな改正点などはないものの、税務関係書類の押印義務などが廃止されているなど、申告書にいくつかの変更があるのでポイントを押さえておきたい。

1.「認印」で済む押印が不要に

令和3年分の確定申告では、申告書に若干の変更がある。確定申告書は「申告書A」と「申告書B」の2種類。申告書Aは会社員やアルバイトスタッフでも申告しやすいように作られた簡易的な申告書で、記載できる項目が少ないので個人事業主の確定申告には使えない。事業所得の申告をする際は、必ず申告書Bを用いる。

今回の変更の一番のポイントは、申告書の押印欄がなくなったこと。令和2年12月、国税庁は税務関係書類の押印義務を原則として廃止することを発表。これにともない令和3年4月1日以降、「認印」で済む税務関係の書類については押印義務が廃止された。そのため、令和3年分の確定申告書からは押印欄がなくなっている。なお、令和4年分の確定申告からは申告書Aがなくなり、申告書Bに統一される。

今回の申告書の変更では、A、Bの申告書とも第一表の「収入金額等」の「雑」の「その他」項目に「区分」欄が追加されたほか、第二表の「住民税に関する事項」に「特定配当等の全部の申告不要」の項目が追加されている。

また、申告書Bのみの変更になるが、「収入金額等」の「事業」の「営業」「農業」それぞれに「区分」欄が追加されているほか、「不動産」にも「区分」欄1・2が追加されている。

新設された上記の各種区分欄には、何を記載するのかまだ国税庁より示されていないが、電子帳簿保存法における帳簿の保存方法について明記するのではないかと噂されている。

2.住宅借入金等特別控除額の計算明細書の変更

「(特定増築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」においては、「新築又は購入した家屋等に係る事項」に「契約日 契約区分」、「増改築等をした部分に係る事項」に「契約日」の欄が追加された。また、項目「6」として「新型コロナウイルスによる入居遅延」の有無を確認する欄が追加。「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算書」に「再び居住の用に供したことに係る事項」の欄が新設されたことを受け、再居住者用に提出が求められていた「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書~再び居住の用に供した方用~」が廃止されている。

住民税においても、若干の変更点がある。住民税の計算に当たっては、上場株式等に係る配当所得等について所得税と異なる課税方式を個人住民税において選択する場合、所得税の確定申告書を提出していたとしても、別途、住民税の確定申告書を住民税の納税通知書が送達されるときまでに提出しなければならなかった。それが令和3年度税制改正により、今回から所得税の確定申告書に記載できる欄が新たに設けられた。

3.子育てに係る助成等の非課税措置

このほか、今回の確定申告では、令和3年度税制改正を受けて、保育を主とする国や自治体からの子育てに係る助成金等が非課税となった。これは学資金や幼児教育、保育無償化によって国から受ける補助が非課税とされていることを踏まえたもの。これまでは自治体等からの助成額は所得税法上の雑所得となり、確定申告の必要があったが、今回の確定申告からは自治体等が行う子育て支援に係るベビーシッターの利用料等の助成が非課税となる。

具体的には、国または自治体が行う保育その他の子育てに対する助成をする事業、その他これに類する一定の助成をする事業で、これらの助成を受ける者の居宅で保育、その他の日常生活を営むのに必要な便宜の供与をおこなう業務、または認可外保育施設その他の一定の施設の利用に要する費用に充てるため給付される金品は、所得税・個人住民税を課さないとされている。

<非課税となる助成等>

  • ・ベビーシッターの利用料に対する助成
  • ・認可外保育施設等の利用料に対する助成
  • ・一時預かり、病児保育などの子を預ける施設の利用料に対する助成
  • ・上記助成と一体として行われる助成についても対象(例:生活援助・家事支援、保育施設等の副食費・交通費等)

なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響で実施された「企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特例措置における割引券」や東京都の「ベビーシッター利用支援事業の特例措置における助成」については、令和3年度税制改正とは関係なく、心身または資産に加えられた損害について支給を受ける相当の見舞金(所得税法9条1項17号)の扱いで非課税所得となっている。

ページの上部へ