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ふるさと納税 東京都と高知・奈半利町は申請せず1,786団体を指定

2021.10.18

はじめに

総務省は9月17日、令和3年10月1日から同4年9月30日までの、ふるさと納税指定制度の対象となる地方団体を公表した。それによると、全国に1,788ある都道府県・市区町村のうち、1,786団体が総務大臣から指定された。東京都と高知県奈半利町は指定の申出書を申請しておらず、昨年に続きふるさと納税制度の対象外となっている。

1.対象となる地方団体は指定制

ふるさと納税制度は現在、総務大臣の指定制度を取り入れている。それ以前は、指定制度はなく、寄附を集めるために返礼品が寄附額の半分以上を占めたり、家電製品やクーポン券などの換金性の高い返礼品などを提供する自治体もあった。そのため、令和元年6月1日以降、返礼品を寄附額の3割以下とすることや地場産品に限定するなど、一定基準をクリアした地方団体が指定され、ふるさと納税制度を利用している。

総務省から公表された令和3年10月1日から同4年9月30日までの、ふるさと納税制度の対象となる地方団体は1,786団体(図参照)。東京都と高知県奈半利町は指定の申出書を申請しておらず、昨年に続きふるさと納税制度の対象外となっている。奈半利町については、令和元年10月以降も基準に違反した返礼品を提供していたことから、総務省が同2年7月に、ふるさと納税制度からの除外を決定。2年間の除外となっている。令和4年に再度審査を受け、復活可否を判断されることになっている。

ふるさと納税の対象となる地方団体数
区分 全団体数
指定の届出書提出 指定団体
都道府県 47 46 46
市区町村 1,741 1,740 1,740
合計 1,788 1,786 1,786

2.ふるさと納税の受入額は約6,725億円で過去最高

ふるさと納税制度に関しては、今年7月末、総務省から「ふるさと納税に関する現況調査結果」が公表され、令和2年度の全国のふるさと納税の受入額は約6,725億円(前年度比:約1.4倍)、で、過去最高となっている。

受入件数に関しても約3,489万件(同:約1.5倍)で増加しており、都道府県別に見ると、北海道が受入額、受入件数ともに最も多く、鹿児島県、福岡県がそれに続く。

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出典:『ふるさと納税に関する現況調査結果(概要)』(総務省)

3.返礼品の調達関係などに係る経費は受入額の約46%

「ふるさと納税の募集に要した費用」は、返礼品の調達に占める費用が最も多くを占めるが、事務に係る費用についても538億円におよび、全団体合計で3,034億1,900万円となっており 受入額に占める割合は45.1%にもなる。

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出典:『ふるさと納税に関する現況調査結果(概要)』(総務省)

つまり、ふるさと納税制度全体から見れば、地方団体としては集まった寄附金の53.3%しか団体の財源として活用できていないことが分かる。(個別の団体で見ればこの数字は変わってくる。)

さらに、ふるさとの納税がおこなわれると、寄附金のうち2千円を超える部分については、一定の上限はあるものの、原則としては翌年度の住民税から控除される。令和2年度のふるさと納税に基づく、全国の自治体における同3年度課税では、ふるさと納税に係る住民税控除額の実績は約4,311億円(前年度比:約1.2倍)、控除適用者数は約552万人(同:約1.3倍)となっている。

前述した募集費用の約3,034億円とこれら住民税からの控除額4,311億円を合わせると約7,345億円に達し、ふるさと納税の受入額の約6,725億円を上回ることになる。

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