第15回 さくら会計 原島 秀一 税理士事務所
原島 秀一 先生 (東京税理士会・関東エッサムファミリー会 会員)
事務所訪問 第15回目は、東京税理士会 杉並支部の原島 秀一 先生をご紹介いたします。
さくら会計 原島秀一税理士事務所は、京王電鉄 井の頭線 西永福駅のほど近くにあります。ドアにはさくらをモチーフとしたシンボルマークが掲げられており、原島先生とスタッフの方々が笑顔で出迎えてくださいます。
原島先生は、当時勤務していた事務所の代表税理士より事業承継の打診を受け、2007年4月に事務所を引き継がれました。入所して12年目のことでした。
今回は、そこに至るまでの経緯や経営者としての決意、事務所内での改善活動について、お話を聞かせていただきました。
―はじめに、先代の先生との出会いについてお聞かせください。
原島:先代の先生の事務所に入所したのは1995年、わたしが24歳の時です。事務所を選ぶときの基準にしていたのは、自宅から近く通いやすいこと、経験を積んで実務を身につけられる環境であること、この2点でした。
通勤しやすい場所にあったこと、また、面接時のスタッフの対応や先生の仕事に対する姿勢から、ここならしっかり勉強できるという印象を受け、入所させていただくことになりました。
当時のわたしは、学んだ知識はあるけれども経験はなく、人間的にも未熟だったと思います。
社会人としてもまったくのゼロという状態で、電話の取り方、言葉遣いすらなっていませんでした。それを、先生をはじめスタッフの方が、時には怒りながら厳しくも温かくご指導いただきました。ゼロの状態から、税理士としても社会人としても、色々なことを学ばせていただきました。
―事業承継について、いつごろ打診を受けられたのでしょうか?
原島:入所して10年ほどたったころから、生意気にも自身の税理士としてのスキルアップを考えるようになっていました。独立を前提に税理士の資格を取っているようなところもありますから、独立したいという想いもずっと持っていました。
先代の先生は、ご高齢だったこともあり常々引退したいとおっしゃっていたんです。できればわたしに跡を継いでほしいであろうことも感じていました。でも、お客様の件数が多いこともあって少々荷が重く、正直なところすべてを継ぐことは難しいと思っていました。
そんな中正式に打診を受け、迷っている私に、先生は温かい言葉をかけてくださいました。背中を押していただいて、最終的に決心をしました。2006年3月、確定申告が終わったころのことです。
その後2007年4月に現事務所をスタートさせ、6月に今の場所に移転しました。
—場所も移転されたのですね。「さくら会計」という事務所名の由来はなんでしょうか?
原島:はい。事務所の場所も名前も変わりました。以前の事務所は下高井戸の、先生のご自宅の離れにありました。駅からの道すがら、きれいな桜並木があったのでこの事務所名に。
移転するにあたって、以前の事務所からあまり離れすぎない場所で探した結果、西永福に来ました。
―経営者となり、補助税理士のころとくらべて、どのような気持ちの変化がありましたか?
原島:当然のことですが、責任感がまったく違います。スタッフに対しては、勝手ながら将来を考え、ここでどのような経験をさせてあげれば成長につながるのかを意識します。
先代の先生の仕事ぶりを見ていて学んだのは、知識だけでなくその人の人間性がお客様との信頼関係に大きく影響するということです。お客様がわたしに相談してくだされば、わたしは知識や能力の限り考えお応えしますが、それが本当にお客様の為になっているのかを常に意識していなければいけません。
また知識や能力の向上とともに、わたし自身の人間性も常に磨いていなければいけないと思っています。経営者として長くやらせていただいていると、わたしを叱ってくれるお客様やスタッフも少なくなりますからね。
―業務において、作業効率を上げるために取り組んだことはありますか?
原島:まず、マニュアルを作成し共有しました。うちのスタッフはベテランなので今はそれぞれに工夫していると思いますが、資格を持っていない人でもわかるような内容になっています。
人によってバラバラな処理をするのではなく、例えば効率的な決算の組み方から申告までの流れや注意点、資料の保管方法と保管場所まで、マニュアルに基づいて繰り返し説明しました。「重要書類は保管する」と言っても、どれが重要書類か人によって判断に迷うかもしれません。具体的に「これとこれは保管しておきましょう」と伝えるようにしています。事務所全体のレベルも上がりますし、均一化を図ってだれが処理をしても一定の品質を保てるようになりました。
それから、エッサムの財務・税務遠隔操作システム e-PAP RS(イーパップ リモートステーション)を利用しています。使い始めたきっかけは、外出先から事務所内のサーバにあるデータを見たいと思ったからです。自宅でも外でも、いつでも事務所内のサーバにアクセスできるので、お客様のところで相続税のシミュレーション結果や収支計画表などを見るのに重宝しています。今まではUSBで携帯していましたが、今の方がずっと便利です。
あとは書類の保管方法でしょうか。ずっと悩んでいましたが、電子化したり思い切って捨てたりして、今はほぼ、わたしの理想の形になっています。
―他、何か工夫したことや改善したことはありますか?
原島:勤務していたころ、時々、これはおかしいなと思うことがありました。例えば働き方、休日の取り方です。以前は、この仕事をしているので土曜出勤も仕方がないと思っていました。でも休暇を取ると、モチベーションの向上にも繋がりますよね。わたしもたまの休暇には旅行に出かけたりしますし、スタッフにもきちんと取ってもらいたいと思います。
事務所はスタッフでもっているようなものですから、休む時はしっかり休んでリフレッシュしていただき、それぞれの能力を存分に発揮できるような環境を整えたいと思っています。
―お客様はこの近辺の方が多いのでしょうか?
原島:事業承継したところは、築地の仲卸業・市場関係のお客様が多いです。最近のお客様は調布の方がほとんどですね。
業種で言うと、不動産貸付、製造業、出版業、あとはボクシングジムなどです。
―お客様を増やすために取り組んでいることはありますか?
原島:実は、営業はまったくしたことがありません。ホームページも持っていないです。でもお客様の数は、事業承継したころとくらべて少し増えているでしょうか。
ではどのようにして増えているか。これは、以前所属していた調布の青年会議所のご縁です。もう卒業しましたが、ここにはわたしと同年代の税理士の方、経営者の方が多くいらっしゃって、必然的に仲良くなりました。
調布という地域の中で可愛がっていただき、たまたまわたしを必要としてくださる方がいらっしゃったということです。
事業承継により、しっかりとした土台がありスタッフもいてくれた。恵まれた環境だと思います。
―次に、エッサムファミリー会の研修会にご参加いただいて、何かご意見があればお聞かせください。
原島:すごく勉強になっています。岩下先生や熊王先生など、税理士としてだけではなく人間としての正しいことを教えてくださる先生がいらっしゃって、同じお話でも何度も聞いてしまいます。
研修会に参加した後は、わたしも身が引き締まる思いがします。
―ありがとうございます。最後に、今後の抱負をお聞かせください。
原島:お客様と税理士も、共存共栄です。お客様に儲けていただければ、我々も儲かる。
悪い時は悪い風が吹くでしょうが、その時はそれを受け止めたいと思います。いい時はまた必ず来ますから。あまり欲張りすぎずにやっていこうと思います。
―本日はお忙しい中、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。さくら会計 原島秀一税理士事務所のますますのご発展を祈念しております。
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