第33回 グリル小宝(京都府京都市)
昭和の洋食で人々を魅了し続ける、京都の老舗洋食屋
西洋料理を日本風にアレンジさせた洋食は、現代では日本独自の食文化として浸透しています。
グリル小宝様は創業当時から続く昔ながらの味を守り続けてこられた名店です。
古都・京都で愛され続ける老舗洋食屋グリル小宝様の経営の秘訣を伺いました。
昭和から続くドストレートな洋食屋
―まずは事業内容や店名の由来についてお聞かせください。
社長:1961年創業の洋食屋です。初代は祇園にお店をかまえていた「たから船」という洋食屋での修行を経て独立しました。
たから船は、祇園の舞妓さんや芸妓さんが通うような人気店だったそうです。
店名は、そのたから船から一字をもらったもので、師匠に敬意をこめ「小宝」と命名したそうです。
私達が提供しているのは、いわゆるドストレートな洋食です。
創業当時から伝わる"昭和の洋食"の味を何よりも大切にしています。
―目玉商品は何ですか?
社長:一番よく注文されるのはオムライスです。
他にはハイシライスやハンバーグといった定番メニューを注文されるお客様が多いです。
創業当時は品数が今より多かったのですが、徐々に淘汰され今のメニューになりました。
私の代で増やしたのがオムライスの小サイズです。
初代は大きいサイズで作ることを好んだため、他のお店よりも大きいのがうちのオムライスの特徴です。
しかし、ご高齢の方などから「一人では食べきれない」というご意見を以前からいただいていました。
お店の歴史とともに年月を重ねてこられた常連のお客様に、この先もうちの味を楽しんでいただくためには小サイズでの提供が必要だと考え、メニューに追加しました。
―小サイズはオムライスだけですか?
社長:他のメニューに同様のご要望をいただいていますが、小サイズばかりを増やすとこちらが十分に対応できない可能性が高くなってしまうのでオムライスのみにしています。
少数精鋭のスタッフで回しているので料理の提供スピードが全体的に落ちてしまうのです。
お店を移転か改築して厨房を広げ、従業員数を増やせば対応できるかもしれませんが、そのためのかかるコストは膨大です。無理なことはしない、と割り切って営業しています。
人気メニューのハイシライス
観光客におもねらないスタンスを貫く
―連日行列が絶えないと伺っていますが、集客のための取り組みはされていますか?
社長:基本的に、有料広告での宣伝はしていません。一番の宣伝は、お客様がフェイスブックなどのSNSに載せてくださることです。
お客様が投稿してくださって、さらにそれを見た方が来てくださるよい循環が生まれているようです。
ただ、SNSにはどうしても当店の評価を下げる口コミも書き込まれてしまいます。それらに一喜一憂していても仕方ありませんので、あえて見ないようにしています。
ネット上には賛否両論の意見があり、それでも結果的に多くの方にお越しいただいているので、今の経営スタンスが正解なのだろうと思います。
―海外のお客様はどのくらいいらっしゃるのでしょうか?
社長:平安神宮の近くという土地柄、日本だけでなく世界各地の観光客の方にもご来店いただき、ピーク時には半分が外国の方です。
そうした状況に対応するため、英語表記のメニューを作りました。
英語なら他言語の方も訳せば料理の想像がつきやすいですし、トンカツのように海外の方にも「Tonkatu」でそのまま通じるものもあるので、それらはローマ字表記にしています。
ただ、西洋の方には英語メニューをみても"日本の洋食"が一体何なのか理解できない場合が多いようです。
"日本の洋食"は西洋料理を日本人好みの味や食材でアレンジを加え、日本で独自に発展した分野だからです。
西洋風だけれど立派な日本食、というカテゴリー分けが難しいジャンルですが、いずれは西洋の方にも広く浸透していくことを願っていますし、その一翼を担いたいですね。
英語表記のあるメニュー表
―外国の観光客に対して、接客で特別に心がけていることはありますか?
社長:観光客の中では特に中国系の方が多いです。ただ、あえて特定の国を対象とした接客は行わず、日本の「地元のお店」というスタンスを崩さないようにしています。
観光客におもねらない姿勢に素の日本らしさを感じていただき、それが逆に外国の方に喜ばれている印象です。
昔ながらの味を守り抜く
―最後に、今後の展望についてお聞かせください。
社長:どれだけ環境が変わっても、受け継いだ味を守り抜くことを一番に考えています。
海外のお客様の増加に伴い、宗教や主義によって料理に使っている食材を食べられないという方にも来店いただく機会が増えました。
例えば「豚を食べることを宗教で禁じられている」という方の場合、
私達が提供している料理には豚肉や豚の脂などを使用しているため、それらを全て取り除くことは不可能です。
もちろん、やればできるかもしれませんが、それではお店本来の味でなくなってしまいます。
そのため、個々のお客様からの細かい注文に対応させていただいてはおりません。
時代の変化に対応していくべきところ、変えてはいけないところの二つを明確に見極めながら、これからもドストレートな昭和の洋食を維持していくつもりです。
地元に愛されている名店
―高島先生、最後にグリル小宝様の税務指導についてお聞かせください。
先生:お店の経営はしっかりとポリシーをもってされているので、それについて口出しはしていません。
最近は新型肺炎の関係で観光客の方は大幅に減っていますがお客さんの入り具合は変わっていません。
それだけ固定客がついている、地元に愛されているお店なのです。
だからこそ、税務や会計の面でしっかりとサポートしていきたいですね。
畠中社長(右)と髙島先生(左)
―本日は貴重なお話をありがとうございました。今後ますますの発展を祈念しております。
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グリル小宝
代表者 畠中 幸治
設立 1961年
本社 京都府京都市左京区岡崎北御所町46
TEL 075-771-5893
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髙島良彦税理士事務所
税理士 髙島 良彦
(京都エッサムファミリー会総務部部長)
所在地 京都府京都市中京区新町通夷川下ル西側二条新町720-10
TEL 075-221-8166
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