第16回 清水工業 株式会社(兵庫県神戸市)
本業に注力することで経営危機を乗り越え100周年を迎えられる健全な企業を目指す!
清水工業株式会社は、各種移動式クレーンリース、及び橋梁架設を中心とする土木工事を社業としています。
1963 年に神戸市兵庫区で創業、1965 年に法人化し、既に50 年以上の社歴を持つ同社は、約100 名の陣容で、移動式クレーンを約80台保有。建設・土木会社、大手ゼネコン、橋梁メーカーなどを顧客としており、兵庫県下では大手のクレーン業者です。
今回は、同社常務取締役の清水誠氏、そして顧問税理士の西原正博先生にご同席頂いて、同社のこれまでの歩み、そして今後の方針について伺いました。
▲清水工業株式会社加古川支店 クレーン車納車風景
■高度経済成長とともに大きく飛躍した クレーンリース業界
―業務内容についてお尋ねしますが、クレーンリースという業界は、一般には馴染みが薄いですね。
常務:確かにそうですね。移動式クレーンリースという業界は、昭和30 年代半ばに発生した比較的若い業界です。それまでは人力や滑車を使って行っていた荷揚作業、建物建設作業のために、クレーンメーカーがトラックの荷台にクレーンを架装した車両を開発、発売したのが始まりです。それ以来、高度経済成長期の旺盛な建設需要に支えられ、クレーンの需要は大幅に伸び、それに伴ってクレーン車もどんどん大型化していきました。ちなみに、クレーンリースという表現ではありますが、機械を賃貸する仕事ではありません。クレーン車は、操作に高度な習熟を要する機械であり、操作を誤れば大事故につながりかねません。きちんと教育を受けた弊社社員がお客様の現場まで車両を運行し、お客様の指示に従ってクレーンを操作して作業を行います。ですから、実態は賃貸業ではなく、建設業の一種ということになります。
■クレーンを自社保有する強みを生かし橋梁架設にも果敢にチャレンジ!
―橋梁架設を中心とする土木工事を手掛けるようになったきっかけはあるのですか?
常務:従来、多層下請構造の建設業界では、クレーンは道具扱いといった位置づけで、最下層の扱いを受けていました。すなわち、建設会社の下請けに入った大工などの業者が、クレーンを使う、といった構造でしたので2次、3 次以下の下請という立場だったのです。
そこで、もっと元請に近い立場で仕事をするために、クレーンを保有する会社として何かできないか、という考えから始めたのが橋梁架設事業です。橋を架けるには、まず橋脚を立てる下部工業者が入り、その後に上部工業者が架け橋を行いますが、当社はクレーンを自社保有する強みを生かして、これまで数百の橋梁、歩道橋などの架設、撤去に携わってきています。他にも機器据付などの重量物作業は得意とするところです。
■本質を見極め 本業に注力することで経営危機を乗り越える!!
―御社はこれまでの54 年の歴史の中で赤字決算をしたことがないそうですね。
常務:はい。クレーンはもっとも小さな10tクラスで2000 万円、もっとも大きな550t で約5 億円します。機材の更新投資は継続的に行わなければならず、このため、減価償却費が製造原価の大きな比率を占めています。この費用を調整することによって、これまで何とか毎期納税義務を果たしてきた、といったところです。また、西原先生にご指導を頂いて、減価償却費の振れを調整するために、レバレッジドリースなどの課税繰延商品を活用し、事業が不振なときにも赤字決算を何とか回避できたことが大きかったですね。
もちろん、当社が危機を迎えたこともありました。古い話では、1970 年代のオイルショックに伴い、業務量が急激に減った時には、倒産危機に瀕しました。また、1990 年代後半には、山一証券や日本長期信用銀行などの金融機関が破綻し、多くの建設業者が大打撃を受けましたが、当社も相当の回収不能債権が発生し、非常に厳しい状況に陥りました。それでもここまで来られたのは、当社が本業のみに専念し、バブル景気の際にも自己資本の強化を最優先に行ってきたことや、阪神淡路大震災を乗り切ったことが大きかったと思います。現在では借り入れに頼らない経営が出来ており、西原先生のご指導のもと、今後も堅実な経営に努めたいと考えています。
■IT を活用し業務効率化と開かれた会 社運営を実現!
―コンピューターシステムの活用にも力を入れておられるそうですね。
常務:当社は1991 年にオフコンを使って拠点間をオンラインで結ぶ販売管理システムを自社で開発して稼動させました。現在では、ほとんどすべての業務がシステム化され、社員は社内でパソコンを使ってシステムを利用するだけでなく、スマートフォンを使って外出先からシステムにアクセスして社内の情報の確認、更新が出来るようになっています。
当社では自社内でメールサーバー、ウェブサーバー、システムサーバーを運用していますので、システム改良の取組を柔軟に行えることが強みです。こうしたシステムは、社員が円滑に業務を遂行することをサポートするのはもちろん、社員全員がいつでも必要な情報を見られることが、開かれた会社運営につながっていると思っています。
■お客様にも社員にも頼られ100 周年を迎 えられる健全な企業を目指す!
―今後の課題、抱負について教えて下さい。
常務:今までお世話になってきたお客様に今後も重宝していただける企業であると共に、従業員にとって頼りになる、居心地のいい会社であることを大切にしたいと考えています。社員に対しては大企業ほどに手厚いことは出来ていないかもしれませんが、40 歳以上の社員には毎年人間ドックの受診を推奨しており、また50 歳時にはPET 検診を受診させるなどの従業員の健康管理には力を入れています。
また、当社の場合、60 歳を超えて勤務を続けて頂いている社員は現在12 名おり、最年長は71 歳になります。今の団塊世代の社員は元気ですし、本人が望む限りは仕事を続ける選択肢を用意するために最善を尽くしたいと思っています。こうした取組みと並行して若手の採用、教育も行っていきたいですし、後継の経営者の育成にも注力し、今後70 周、100 周年を健全な企業として迎えられるように引き継いでいきたいと思っています。
―清水常務、西原先生。本日は貴重なお話をありがとうございました。清水工業株式会社様の益々のご活躍を祈念しております。
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清水工業 株式会社
代表取締役社長 清水 洋輔
創業 昭和38年6月
資本金 46,800,000円
所在地 神戸市中央区港島7-14
TEL 078-302-5370
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西原 正博 税理士事務所
税理士 西原 正博
(兵庫エッサムファミリー会 組織部 部長)
所在地 神戸市中央区中山手通2-3-15石田ビル3F
TEL 078-331-2546
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