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第12回 株式会社 南武(神奈川県横浜市)

“匠の技”をもつ町工場がグローバルニッチトップ企業へ登りつめた秘訣に迫る!

 私達が当たり前のように運転する車。当然、精密なエンジンをはじめとした様々な部品が必要不可欠です。これらには「油圧技術」が用いられており、パスカルの原理によって、電気や空気に比べ、より大きな力を出すことができるため、1960年代後半に導入されて以来、産業機械の制御や駆動、鉄工業において多大な貢献をしてきました。今回はこの分野におけるパイオニアである、株式会社南武様をご紹介します。株式会社南武は日本最初の油圧シリンダーメーカーです。リーマンショックによって国内における産業の需要が減少したなかで、積極的な海外進出に乗りだし、2014年には経済産業省よりニッチ分野での世界的な高いシェアが評価され、グローバルニッチトップ企業100選に認定されました。そこで今回は、取締役会長の野村和史氏、代表取締役社長の野村伯英(たかひで)氏、顧問税理士の中井孝先生にご同席いただき、株式会社南武様の経営の秘訣を伺いました。
 

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▲左から野村和史会長、野村伯英(たかひで)社長、中井孝先生
 

■世界有数のシェアをもつ町工場

―まずは、御社の事業内容をお尋ねします。
社長:社員数はグループで240名程度と小規模ですが、金型向け油圧シリンダー、および重工業向けロータリージョイントを主力製品とし、お客様のニーズにあわせた製品づくりを心がけております。また、製品を納品して終わりという事ではなく、販売後のオーバーホールまで行っています。おかげさまで、こちらの分野での国内及びアジア市場シェアはNO.1であり、また世界各国からも高い評価をいただいております。

―そもそも油圧シリンダーとは、どのようなものなのでしょうか?
社長:金型向けの油圧シリンダーを作っていると言われても、知らない方がほとんどだと思います。そもそも、油圧シリンダーは、シリンダー中のピストンを油圧で動かし、ピストンで固定された棒の押し出しや引き込み運動を行う装置です。そのなかでも、金型向け油圧シリンダーは、自動車エンジンなどを生産するための金型などに組み込まれ、複雑な形状を成型するのには欠かせない製品となっております。


■火事での工場閉鎖がニッチ分野進出のきっかけに

―金型向け油圧シリンダーに特化されるようになったのは何かきっかけがあったのですか?
会長:はい。1963年に当社の工場が火事によって閉鎖を余儀なくされ、規模を縮小せざるを得なくなったことです。創業者である野村三郎は「コンパクトな部品なら、会社が小規模でも需要を満たすことができる」と考え、金型向け油圧シリンダーメーカーとして、東京都大田区にて、現在の南武の前身である「南武鉄工」を再生しました。それまでは、お客様の求めに応じて、シリンダーに限らず、様々な鉄工製品を手掛けておりましたが、結果的に品目を絞り込み、特化させたことによって他社との差別化をはかることができたのだと思います。

―御社は、いちはやくタイや中国にも進出されています。その契機をお聞かせください。
会長:コストダウンのため、中国に部品を発注してみたのですが、サンプルは良くても量産品の品質がダメだったことが要因の一つです。「ならば自社で部品をつくってしまおう」と、タイに下請け工場を設立することを考えました。大田区では中小企業に向けた行政支援が充実していたこともあり、設備や機材の貸し出しサポートが受けられたおかげで、スムーズに海外進出をはたすことができました。


■“匠の技”はお金で買えない!

―リーマンショック時には、御社も多大なご苦労をされたそうですね。
会長:そうですね。2009年には、受注が全面的にストップするという緊急事態に追い込まれたこともありました。このような状況の中でも、できるだけ社員たちへの待遇を変えることのないよう善処しました。社員を解雇すれば、給料の支払いは楽になります。しかし、匠の技を持つ社員は、お金では買うことはできませんからね。それでも、いよいよ状況が厳しくなってきましたので、やむなく減給に踏み切りましたが、「私も身銭を切っているから、すまないが我慢してくれ。どう頑張ってもこれ以上は出せない」と頭を下げ、納得してもらいました。

―こうした会社をとりまく様々な状況の変化を通じて、国内の需要のみでは限界を感じられたという事ですね。
社長:その打開策として、2010年より本格的に中国進出に乗り出しました。当初は、チャイナリスクへの懸念等により、銀行だけでなく腹心の社員たちにさえ反対されていました。それでもやり通すことができたのは、創業者の代から培ってきた「常に外向きであれ」という南武の教えがあったからです。急速な経済成長を迎えていた中国での製品の修理・オーバーホールに対する需要は増える一方だったため、ある意味利害が一致するような形で進出することができました。中国事業の成功や東南アジア、インド等へのさらなる海外展開によって、2014年に経産省より、グローバルニッチトップ企業100選に認定いただきましたのは、大変光栄に思います。


■さらなる海外展開について

今後の新たな取り組みなどがあれば教えてください。
社長:インドやメキシコなど、海外展開をより加速していきたいと考えています。それには、海外でも通用する人材の育成は欠かせません。また、従来の部品製作に加え、設計力の強化、製造技術の向上をはかることで、より多くの顧客ニーズへの対応を可能にしていきます。常に前向きな経営方針を崩さず、今後も業界を導いていく存在であり続けたいですね。


当たり前のことを、当たり前にやる

―中井先生におうかがいします。南武様は優良申告法人として表敬状を受けておられますが、ご指導のなかで心がけておられることはございますか?
先生:当たり前のことを当たり前にできるようにすることです。株式会社南武さんは、過去の経験を活かして、受注・製造、販売管理、研究開発の必要性と次世代への商品特化など数値や将来ビジョンを正確に表示、模索する体制が出来上がっています。その結果として、優良申告法人に認定されたものであり、今後とも株式会社南武さんとともに、皆様の当たり前の体制を支えていくため、微力ながらお手伝いさせていく所存です。

―野村和史会長、野村伯英社長、中井孝先生、本日はありがとうございました。今後のさらなるご活躍を楽しみにしております。


▼株式会社南武 本社
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株式会社 南武
代表者  野村 伯英
設立   1965年
所在地  神奈川県横浜市金沢区福浦2-8-16
TEL    045-791-6161
URL   http://www.nambu-cyl.co.jp/
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中井孝 税理士事務所
税理士  中井 孝
所在地   東京都千代田区神田松永町7番
ヤマリビル302   
TEL    03-5298-4720
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