第9回 株式会社 佐藤商店(京都市伏見区)
時代は変わっても「お客様第一主義」は変わらない!廃業相次ぐ古紙回収業界にて黒字経営をキープ!
株式会社佐藤商店は、1970年から京都の地で現代表・佐藤公彦氏のお父様と2世代に渡って経営を続けている古紙回収業者です。従業員数5人という少数精鋭で、先代が築き上げたビジネスモデルを守り、黒字経営を続けています。時勢のなりゆきによって経営状況が左右されやすく「起業は簡単だが、廃業率が高い」と有名な業界であるにもかかわらず、安定した経営を守り抜いている同社の取り組みを教えていただきました。
平岩先生(左)と佐藤社長(右)
■“古紙”の争奪戦時代に創業
―まずは、御社の事業内容についてお聞かせください。
社長:契約企業から出る段ボールをメインに、雑誌や新聞などのリサイクル可能な古紙を回収し、廃棄物処理業者へと運搬するのが仕事です。京都では2年前から雑紙(新聞・段ボール以外のリサイクルできる紙類のこと)も再生資源としてリサイクルしているので、シュレッダー紙も回収しています。
―古紙回収業を始めたきっかけは何ですか。
社長:先代が会社勤めのかたわら、古紙回収をはじめたことです。1973年から79年は第一次・第二次オイルショックで紙の価格が高騰し、トラック1台あれば事業を始められる古紙回収業に個人・法人問わず大勢の人々が参入して、古紙を取り合っていました。先代も、ときには真夜中の2時まで古紙回収のために走り回っていましたね。ところが、現在は市場を占有している古株の企業でも、薄利多売の戦略で経営をなんとか維持している状況です。新参者は古紙を集めるのが非常に難しく、違法にゴミを持ち去る業者が後を絶ちません。
―では御社の黒字経営の秘訣は、どこにあるのですか。
社長:先代の力だけに頼らず、新規のお客様を開拓し続けたことです。先代が現役の頃は“義理人情”で契約いただけることもあった時代でした。しかし、今は一円でも安く古紙を回収してくれる業者が見つかれば、昨日までのお客様が、手のひらを返したように他社に移ってしまうことも珍しくない時代です。経営者が変わるたびに契約を打ち切られることも何度もありました。そのため既存の顧客だのみの経営ではなく、早い段階で新しいお客様に目を向けていったのです。
■キレイすぎるトラックで集荷
―時代の移り変わりですね。しかし、新規顧客の開拓はご困難の連続ではないですか。
社長:もちろん苦労しています。しかし、私たちは景気が変動しても、法律や条例が変わっても「お客様に信頼され、ご満足していただく」ことを目標に、誠心誠意、仕事をしてきました。「ゴミを回収するだけの業者」ではなく、「お客様にありがとうといわれる会社」を目指したのです。すると「佐藤さんのところなら」と、一般廃棄物業者や産業廃棄物業者の方を中心に、お客様をご紹介していただけるようになりました。今は取引先の半分以上を新しいお客様が占めています。それが当社の業績を支えています。
―具体的にはどのようにお客様と接しているのですか。
社長:従業員が「お客様第一」と考えて仕事ができるように「自分は運転手ではなく“セールスドライバー”だと思いなさい」と教えています。当社では取引先ごとに担当を決めているので、この教育を徹底したところ「自分の得意先を大切にしよう」という姿勢が、より顕著になりました。
たとえば、古紙回収用のトラックは「汚い」というイメージがつきものです。しかし当社の従業員は「お客様の目に触れるものなら清潔にしておかなければならない」と考え、各自トラックを自分の顔が反射するほどピカピカに清掃し、点検・修理までぬかりなく行っています。
■“同じ釜の飯を食う”企業風土
―社員教育を重視されているのですね。
社長:社員教育はトップダウンで行うのではなく、教育主任に部下の教育を一任し、トラブルやミスが生じたときのみ自分がフォローに加わるようにしています。当社は少人数のため、社内の“連携”や助け合いを重視し、全員が関わり合いながら成長できる環境作りに力を注いでいます。
―連携を高めるため、他に取り組まれていることはありますか。
社長:今時めずらしいことですが、給料日は社員全員で私の母の手料理を食べる習慣があります。「いつも頑張ってくれているみんなを労いたい」と、母が手料理を振る舞ったことからはじまりました。「同じ釜の飯を食う」という諺のとおり、今はお互いが家族のような存在になっています。当社は決して楽な職場ではありませんが、一度会社を離れた人が「やっぱり、どうしてもここで働きたい」と帰ってきたことが、何度かありました。従業員が心から「働きたい」と思える会社であることが、私のいちばんの誇りです。
―今後の御社の展望を教えてください。
社長:今後は従業員を増やし、事業規模を拡大して、私たちに扱えるリサイクル可能なものはすべて回収していくつもりです。ただし会社が大きくなっても、少数精鋭でやってきた佐藤商店らしさを大切にしていきたいと考えています。時代の変化に応じてさまざまな取り組みを行うなかで、これまで一貫して大事にしてきたのは「人を大切にする姿勢」です。それは“義理人情”を大切にしていた先代の時代から、変わらない哲学です。
■平岩先生のご指導について
―最後に、先生が佐藤商店様とのお付き合いの中で、気を付けていることがあればお聞かせください。
先生:私も、佐藤商店様との付き合いの中では“義理人情”、そして“本音でぶつかり合い何でも話し合える関係”であることを大事にしています。これは、企業の経営状況を正確に把握する上で、非常に重要なことです。また、佐藤社長も私も、少年野球チームの監督経験があるため、チーム力の高め方、すなわち会社の組織力を高めるために肝心な要素をよくわかっております。今後は、佐藤社長の力強い経営手腕により、佐藤商店様の更なる成長を楽しみにしておりますし、私も全力でサポートしてまいります。
佐藤商店のトラックはいつもピカピカ
―佐藤社長、平岩先生、本日はご多忙のなか、ありがとうございました。今後の佐藤商店様の更なるご活躍を楽しみにしております。
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株式会社 佐藤商店
代表者 佐藤 公彦
創業 1970年
資本金 600万円
所在地 京都市伏見区横大路下三栖山殿5-83
TEL 075-621-2359
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平岩倉一税理士事務所
税理士 平岩 倉一
(京都エッサムファミリー会 会計監査)
所在地 京都市中京区高倉通二条下る瓦町543-1 EDU高倉二条2階
TEL 075-252-3941
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