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第1回 日本電子工業株式会社(大阪市)

企業は人なり。人が企業を興す。「信」と「熱意」の技術集団によるV字回復!!

「いよいよ来月はもう、ダメかもしれない…」nihondenshi1.jpg
決算時、顧問税理士の加藤正親先生とともに、山之口良子社長は頭を抱えていました。しかし社長はそこで諦めることなく、平成24年7月期より3年間、見事赤字経営を脱却、V字回復を果たします。
大阪市にある日本電子工業株式会社は、1962年創業、国産初の電気錠を開発・製造・販売しています。
同社は絶体絶命のピンチから、どのように立ち直ったのでしょうか?窮地を救った新商品の開発や顧問税理士の的確なアドバイス、先代の夢を引き継いだ社長の熱意など、加藤先生ご同席のもと、山之口社長のお話を聞かせていただきました。


■日本電子工業株式会社について

―日本電子工業株式会社の事業内容について、教えてください。
社長:日本電子工業株式会社は、1962年に私の父が創った会社です。電気錠の製造から出発しました。電気錠とは、専用のカードをかざしたりテンキーで暗証番号を打ち込むと解錠する、電気で動く錠前のことです。電気錠・制御するためのコントローラ・認証機器、この3つがあって電気錠のシステムが動きます。2014年で54年目になりますが、電気錠を中心にセキュリティ機器の開発・製造・販売を行っています。

―加藤先生との出会いについてお聞かせください。
社長:先生の事務所とのお付き合いは、実はとても長いんです。当社を創業する前、私の祖父が貿易商を営んでおりまして、先々代の頃から、先生の事務所にはお世話になっております。不動産の取得から家族間のことまで、いつも親身になって相談に乗ってくださいます。


■先代の夢と会社の危機

―長年培われた信頼関係がおありなんですね。加藤先生は、日本電子工業株式会社とのお付き合いの中で、特に印象に残っていることはありますか?
先生:振り返ってみると、ずいぶんと長いお付き合いですね。
税理士として、先代社長の研究開発費が印象に残っています。あの時は決算をまとめるのが本当に大変でした。来月はいよいよ…なんて時期もありました。

―先代社長はどのような研究をなさっていたのですか?
社長:実は当社は、技術者である父が、自動車のABS(安全装置:アンチロック・ブレーキ・システム)に使うセンサー技術を研究開発して世に送り出したいという想いを持って創った会社なんです。「この技術があれば世界中の多くの人の命を助けることができる」と言うのが父の口癖でした。この技術を日本だけでなく世界中に広めたい、という想いが、スケールの大きな社名に込められています。
今から20数年前に本格的な研究に着手したのですが、かなりの投資をしました。本業が堅実に伸びているにもかかわらず、段々と本業の利益だけでは賄いきれないほどにまでなってしまいました。父の考えもよく理解していたつもりですが、会社の経営のことを考えるとつい意見が対立してしまって、たくさんけんかをしました。
加藤先生も、「人助けは素晴らしいことだけど、まずはもう少し本業に専念して、足元を固めませんか?」と説得してくださって。こんなにも親身になってくださる方は、そういません。
先生:銀行の対策も、大変でしたね。
社長:銀行との交渉は、本当に大変でした。渋い顔をされたり、ものすごく厳しい言葉をかけられました。
でも、こちらの都合ですから、仕方ないですよね。ここでも先生には助けていただいて、何とか乗り越えることができました。何より、この経験がとてもバネになりました。社員もいますし、このままでは終われない!と思いました。

―そうして、先代から山之口社長に、経営のバトンタッチをされたのですね。
社長:はい。でも悪いことには悪いことが重なるものですね。その頃ちょうど、耐震偽装事件やリーマンショックが起こって、当社も本業の売上が4割ほど減ってしまいました。社員には申し訳ないですが、給料カットを実行しました。社員からは当然文句を言われるだろうと覚悟していましたが、驚いたことに誰からも文句を言われませんでした。


■赤字経営からの逆転!V字回復

―社長の熱意が伝わっていたからでしょうか。そのような不遇の時期に、どのようにして社員の士気を高めていかれたのですか?
社長:もうどん底だ、と思っていた時期に盛和塾に入塾しました。京セラの稲盛和夫氏が塾長を務める、若手経営者の勉強会です。ここで学ぶことは、儲かる秘訣のようなことではなく、人間として正しいことは何か、ということでした。嘘をついてはいけない、家族を大切にしなさい、いつも明るく前向きに、経費最小・売上最大…といった具合です。これらのことがまとめられた本があるのですが、社員と一緒に輪読会をしたり、朝礼で読んだりしました。当社の経営理念は「企業は人なり。人が企業を興す。」ですが、時には本の内容と照らし合わせて、その意味を社員に語り続けてきました。輪読会は月に2回、今も続けています。
みんな歯を食いしばって、何とか会社を復活させようと頑張ってくれました。より良い製品にするために知恵を出し合ったり、こんな時こそ新製品を開発しようと言ったり。そんな中、2011年にはグッドデザイン賞を受賞することになる「ケアロック」という新製品が生まれました。ここに至る過程の中で、社員は随分成長してくれました。
ただ、誰よりも変わったのは私自身でした。実はそれまで、周りに感謝するという当たり前のことに気付けずにいたんです。私が少しずつ変わっていったから、社員も変わってくれたのだと思います。


■引戸採風用電気錠「ケアロック」

―「ケアロック」とはどのような製品ですか?nihondenshi2.jpg
社長:そちらにある窓をご覧いただくと、少し開いていますよね。でもあれで鍵がかかっています。最大13㎝、それ以上窓は開きません。施錠と換気を両立させた電気錠です。また、今までの電気錠との最大の違いは、「ケアロック」が引き戸用であるということです。これまで、電気錠は開き扉に取り付けるもので、引き戸には付けられないというのが常識でした。でも、日本の家屋や建物には引き戸が多く採用されています。当社は、ここに目を付けました。

―確かに入口はドアでも、ベランダや窓は引き戸がほとんどですね。
社長:病院や高齢者施設を考えてみてください。認知症の方やご年配の方がいらっしゃる中、窓から身を乗り出すことや危険な外出を防ぐことができる安全性と、換気ができる快適性を兼ね備えています。
火災や地震等の緊急時には自動的に一斉解錠となり、すみやかに避難経路が確保できます。販売開始以来、お客様に非常に喜んでいただけていると思います。


■新規ビジネスモデルの模索

―今後はどのようなことにチャレンジされるのでしょうか?
社長:電気錠に関する事業は軸足として今後も更に成長させたいと思います。これに伴い、保守点検サービスを始めています。これは当社のお客様はもちろんのこと、他社の設備をお使いのお客様でも点検にお伺いします。おかげさまで毎年何百というお客様が増えており、解約率も極めて低い為、安定的な売上になっています。
また、最近はOEM事業に力を入れています。製造だけでなく開発委託もお引き受けしようと、昨年、専門の部隊を作りました。当社の得意な部分や従来の技術をお客様の技術と組み合わせる。お互いに補い合ってお客様の新たな収益の柱にしていただけるので、非常にいいビジネスだと思います。
当社は54年間同じものを作り続けてきましたが、時代の変化とともにお客様のニーズも変わります。でもずっと変わらないのは、人の命を守るものづくりであるということです。直接人命救助に行くことはできませんが、錠の開閉をすることで中にいらっしゃる方が安全に暮らすお手伝いをする。そういうものづくりが、私たちの仕事です。

―ありがとうございました。最後にこれまでを振り返って、加藤先生から一言お願いします。
先生:私は監査役でもありますので、これからもいろいろとご相談ください。時には苦しい時代もありましたが、今となっては懐かしいですね。今後は節税に取り組んでいきましょう!

山之口良子社長、加藤正親先生、貴重なお話を聞かせていただき、誠にありがとうございました。

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日本電子工業株式会社
代表取締役 山之口 良子、山之口 英史
設立    1962年5月23日
資本金   9,600万円
従業員数  26名(2014年7月現在)
所在地   大阪市生野区勝山北1丁目4番21号
      他、全国に4拠点
TEL    06-6731-1331
URL    http://www.jei.co.jp
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加藤会計事務所

税理士 加藤 正親
(エッサムファミリー会 関西会 副会長)
所在地  大阪市中央区谷町5丁目4番1号
     ロイヤル谷町タワー406
TEL   06-4304-1557
URL   http://www.tax-kato.com/pc/index.html
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